駐在夫、子を育てる-22- 優先順位

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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モモタ(仮名)は2020年9月に生まれ、5月で8カ月。8カ月育児をしていれば、モモタができる限り泣かずに過ごせて、そして自分自身も平穏に暮らすためには何を優先してやればいいのかという順位を付けられるようになった。

何よりもまず優先するのは、食事(ミルク)だ。空腹状態はきっと赤ちゃんに取って最大の生命の危機で、安眠しているかと思いきや空腹を感じた瞬間に、起きて泣き始める。空腹度のバロメーターがあるとすれば、きっと30%を下回った瞬間に大泣きが始まる(と思う)。なので、すやすやと寝ている夜中であっても、朝まで起きないように寝ぼけ眼のモモタの口に哺乳瓶をあてがって半ば強引にミルクを飲ませる。そして、我々大人は安心して眠りにつける。

食事の次に位置するのが、睡眠もしくはうんちの処理。この二つは同率2位。まずは睡眠から。眠い時に寝かせないと、機嫌も悪くなるし出来かけた生活リズムも崩れるため、優先しないとならないことを知った。

一方のうんち処理。モモタ自身は「おむつが汚れているから」泣くということがこれまでほとんどない。たとえおむつの中が悲劇的な状態であったとしても、本人は意に介せず、むしろ機嫌よく動き回っている。そして、ちょっと間たつと、香ってくるのがあの匂いである。本人は気にせずとも周りが大変な被害を受けているので、こちらも優先して対応しないと大変なことになる

こうして極力日々を穏やかに過ごせるように努めているものの、子育ての試練は突然やってくるのである。そう、寝る直前にうんちをして、そのまま寝てしまったケースだ。抱っこ紐で抱えて、うとうと寝入るモモタ。「ようやく寝落ちした!ベッドに移そう」とベッドに置いた時に漂うあの匂い。ようやく訪れた平穏。ただ、その平穏なんてあの匂いの前には、儚すぎる存在だったのだ。

モモタを抱えてお風呂場に行き、洗い流して綺麗になった時には、寝ぼけ眼はどこへやら。爛々と輝いている眼で嬉しそうにしている。「するならもっと早くしろよ。もしくは寝て起きてからしろよ」と毒付いても、モモタは笑顔で、ただただ嬉しそうにしているだけである。


この記事を書いた人

SingaLife編集部