駐在夫、子を育てる-44- 便利なのに

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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私(30歳代)の世代、私の親(60歳代)の世代、そして私の祖父母(90歳代)の世代、さらにその前の世代であっても、子育てが大変であることはいつの時代もきっと変わらないのだろう。いや、むしろ昔は今以上に大変だったはずだ。しかし、それも考えてみれば不思議話だ。現代社会は、これだけテクノロジーが発達し、「子育ての負担を軽くするため」に、さまざまなツールが開発されているにも関わらず、私たち世代は子育てを「ちっとも楽になっていないんじゃないか」と感じているからだ。


紙おむつの登場によって、それまで布おむつでせざるを得なかった、おしっこやうんちの処理は格段にやりやすくなったはずだし、粉ミルクが広く普及したことでミルクをあげることも相当に楽になったはずだ。

ベビーカーやベビーベッドは、それぞれのメーカーが親にとっての使いやすさと赤ちゃんの快適性を両立させた商品を売り出している。哺乳瓶だってそう。数え切れないぐらいの数が売り場には並べられている。

そして、赤ちゃんを静かにさせておくためのある種最強のツールを現代の親は手に入れている。そのツールこそがYoutubeだ。無数の動画を見られるこのツールを使えば、何時間でも乳幼児は見入っている(子育てにおいて、良いか悪いかは別の話だ)。

これほどまでに物質の面で、子育てがしやすい時間は人類史上初めてなのではないか。そんな風にすら思う駐在夫である。

母(60代後半)に、その疑問を投げかけてみた。「こんなに子育て支援のツールがあるのに、相変わらず子育てが大変なままってなんか不思議じゃない?おかしくない?」と。母はすぐにこう答えた。「昔は近所の人たちが一緒になって子育てしてくれたからねぇ。いまは、近所の人たちが関わることなんてほとんどないでしょう。だからいくらそこら変が充実したとしても、大変なままなんだろうねぇ」。さらに、母は続ける。「それと昔はいまよりも適当でよかったしね」。なるほど、一理ある。

駐在夫の私の家は、子育てに関しては無頓着である。息子のモモタが、初めての子どもにも関わらず、離乳食などは結構、適当にしている。しかし、それなりにちゃんと育っている(ように思う)。しばらくは適当のままでいこう。少なくとも、子育てに巻き込めるような近所の人のが見つかるまでは。



この記事を書いた人

SingaLife編集部

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