シンガポール保健省、若者へのコロナワクチン接種停止を求める医師らに反論
シンガポールの複数の医師らが6月26日、国内の若者への新型コロナウイルスのワクチン接種を停止するよう求める公開書簡をフェイスブック上に掲載したことを受け、シンガポール保健省(MOH)などが28日、これに反論する声明を発表しました。医師らは、米国で13歳の少年が新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を終えた数日後、死亡した問題をめぐり、公開書簡を発表。「心不全が少年の死因だった」と主張しました。
医師らは、少年の死亡に関する米疾病対策センター(CDC)の調査が完了するまで、シンガポール国内における若者へのワクチン接種を中止するよう、MOHが監督する新型コロナウイルスワクチン接種に関する専門家委員会に要請しました。
これに対し、MOHは、「医師らの主張は、CDC予防接種諮問委員会に対する報告の一部のみを取り上げたものだ」と指摘。
医師らは、ワクチン接種後に副反応が出た場合、通常回復していることを示すデータが存在する点、および米国では審議の結果、接種の恩恵はリスクに勝るとして、若者へのワクチン接種を支持することで合意した点に言及していないとするとともに、「米国内の報道によると、少年の死因は心不全とはされていない」と説明しました。
ただ、専門家委員会は、シンガポール政府の新型コロナウイルスワクチン接種プログラムで現在、採用されている遺伝物質メッセンジャーRNA(mRNA)を使った米ファイザー製および米モデルナ製ワクチンの接種後に、心筋炎や心膜炎を発症するリスクがわずかではあるが存在すると指摘。シンガポールでワクチン接種後に心筋炎・心膜炎を発症した6人中4人を、18~30歳の男性が占めています。
4人は、2回目のワクチン接種から数日後に心臓の炎症の症状を訴えましたが、その後、回復したとのことです。
MOHとシンガポール保健科学庁(HSA)は、わずかながらこうしたワクチン接種に伴うリスクが懸念されるなか、2回目のワクチン接種後、1週間は激しい運動を控えるなどの対策を勧めています。
新型コロナウイルスの感染拡大収束と同時に、ワクチン接種に伴う副反応への対策も切に望まれます。
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SingaLife編集部
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