【シンガポール×ムーンケーキ】ムーンケーキの商戦始まる。時代に合わせて変わる商品

元外交官 × エコノミスト 川端 隆史のアジア新機軸

ムーンケーキ(月餅)の季節が近づいてきた。今年の中秋節は9月21日だが、すでに商戦は始まっており、専門メーカーや有名ホテルが趣向を凝らしてしのぎを削っている。

贈答品としても使われるため、豪華で凝ったデザインの箱に入れて売られている商品も多い。かつてに比べると隔世の感がある。

筆者がマレーシアに滞在していた2000年から06年のころは、シンガポールもマレーシアもオーソドックスなものが中心で、スターバックスのトレードマークである人魚セイレーンのデザインが話題になった程度だった。

ムーンケーキは華人文化圏では中秋節を彩る風物詩である。しかし、近年は健康に良くないというイメージも強い。例えば、オーソドックなムーンケーキについて、2015年9月22日The Straits Times紙(「ST紙」)は1個あたり716キロカロリーにも達し、ものによっては1000キロカロリーを超える商品もあると報じた。

高カロリーの原因は、焼き菓子であることに加えて、卵の黄身や砂糖を多く使用していることにある。ご飯3〜4膳のカロリー、コーラの缶1〜2本分の糖分に達する。

この問題について2017年9月26日のチャンネルニュースアジアが報じており、4分の1など小さく切って食べることを推奨したほか、砂糖の使用量の少ない商品や、従来よりも小ぶりな商品について紹介した。

昨年のシンガポールにおけるムーンケーキの売れ行きについて、2020年9月20日付けST紙は、2019年に比べて、通常の店舗販売がプラス20%に対し、オンライン販売は2.5倍も伸びたと報じた。明確な金額は報じなかったが、好調な売れ行きだったことはわかる。今年はどのような結果となるだろうか。

筆者は早速、今年のムーンケーキを専門業者とホテルのものを試した。どちらも焼き菓子ではない「スノースキン」でドリアンを使用したムーンケーキで、それぞれの味わいがあり美味しかった。

シンガポールに滞在している間に様々なムーンケーキを試してみてはいかがだろうか。

four seasons duriansのドリアンムーンケーキ
2つのブランドのドリアンが使用されており、白が猫山王、ピンクがスルタン・ドリアン(筆者撮影)

プロフィール

川端 隆史 かわばたたかし

クロールアソシエイツ・シンガポール シニアバイスプレジデント

外交官×エコノミストの経験を活かし、現地・現場主義にこだわった情報発信が特徴。主な研究テーマは東南アジアや新興国を軸としたマクロ政治経済、財閥ビジネスのグローバル化、医療・ヘルスケア・ビューティー産業、スタートアップエコシステム、ソーシャルメディア事情、危機管理など。

1999年に東京外国語大学東南アジア課程を卒業後、外務省で在マレーシア日本国大使館や国際情報統括官組織等に勤務し、東南アジア情勢の分析を中心に外交実務を担当。2010年、SMBC日興証券に転じ、金融経済調査部ASEAN担当シニアエコノミストとして国内外の機関投資家、事業会社への情報提供に従事。2015年、ユーザベースグループのNewsPicks編集部に参画し、2016年からユーザベースのシンガポール拠点に出向、チーフアジアエコノミスト。2020年12月より現職。共著書に「東南アジア文化事典」(2019年、丸善出版)、「ポスト・マハティール時代のマレーシア-政治と経済はどうかわったか」(2018年、アジア経済研究所)、「東南アジアのイスラーム」(2012年、東京外国語大学出版会)、「マハティール政権下のマレーシア-イスラーム先進国を目指した22年」(2006年、アジア経済研究所)。東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所共同研究員、同志社大学委嘱研究員を兼務。栃木県足利市出身。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

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