【最新】シンガポール株の投資について知りたい!株の買い方は?アメリカ株や日本株は?
皆さんは「投資」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?「自分にはちょっとハードルが高そう」「資金が豊富じゃないとできないでしょ?」・・と、もしかしたら、あまり身近に感じない方も多いかもしれません。
「人生100年時代」と言われる長寿社会の一方で、社会保険料や税金は増加。インフレの世の中にして、低金利・・。ライフイベントが続く中で「まとまったお金」はやはり大切になります。
そこで今回は、資産運用のひとつである株式投資について、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います!
シンガポールの投資環境について
さまざまな資産運用の形がある中で、株式投資、とりわけ外国株への投資を選択した場合、投資先の国の情勢を把握しておくことはとても大切ですね。もうすでに皆さんはシンガポールのことはよくご存じだと思いますが、投資先としてのシンガポールの側面を、改めてご紹介したいと思います。
シンガポール経済開発庁(EDB)が発行している「シンガポール投資ハンドブック」によれば、シンガポールが投資先に選ばれる理由として、以下の4つが挙げられています。
1.信頼性の高さ
2.知識レベルの高さ
3.良好なネットワーク
4.生活水準の高さ
「信頼性の高さ」とは、シンガポールの政策、法制度、IT環境、ビジネス環境は高い基準で統制されており、効率よいインフラも整備されている点などがあげられます。スイスのビジネススクールIMDの「世界競争力ランキング2020」で2年連続で首位にランクインするなど、シンガポールの国家力は世界で高く評価されていますね。
「知識レベルの高さ」とは、優秀な人材の確保に向けた努力を、国をあげて行っていることから生まれたものと言えます。シンガポールは教育に熱心な国であることはすでに有名ですね。また、知識集約型(注1)の製造業が発達しており、労働者への教育も力を入れており、仕事に対する総合的な知識が高いと言われています。
そして「良好なネットワーク」とは、まさにシンガポールの地理から生まれるものと言えるでしょう。シンガポールは、アジアのハブとして、多様な文化が交わる場所であるだけでなく、ヨーロッパへの中継地として、物流ネットワークの拠点にもなっています。
また、約500以上の企業が、最先端の金融サービスを提供しているほか、国としてもビジネス環境の整備に力を入れています。例えば、60カ国以上の国と二重課税防止条約を結んだり、19の自由貿易協定、38カ国と投資保証協定も結んでいます。
さらに、シンガポール国内に居住する法人に対しては、法人税率が17%と、世界で最も低い税率の国のひとつと言われています。こうしたメリットから、グローバルビジネスを行う企業の多くが、アジアの統括機能をシンガポールに置くと言われています。
最後に「生活水準の高さ」としては、コンパクトな地理の中に、生活消費を支えるショッピングセンターやレジャー施設がまとまっており、カジノやアミューズメントパークといった総合リゾートも生まれて、利便性はさらに高まっています。また、文化の多様性もありながら、英語が公用語のひとつとして使われるため、世界中から観光客が訪れ、快適に楽しむことができます。
以上のことからも、シンガポールには、投資先にふさわしい、魅力的な環境がそろっていることが分かります。国連貿易開発会議(UNCTAD)の発表によると、2020年上半期の世界の外国直接投資(FDI)は49%減少している一方、シンガポールへの外国直接投資(FDI)は着実に進んでいます。
コロナ禍やウクライナ情勢など、世界の情勢は不安定な状態が続いていますが、シンガポールがビジネス環境や価値が評価され、また成長が期待されているためであり、今後の動向に注目しながら、シンガポール株への投資も考えてみてはいかがでしょうか。
※注1 一般に高度な組立て技術を必要とする産業で、研究開発、デザイン、専門的知識など、高度で多面的な知的労働が要求される産業
シンガポール株とは?
ここからは、シンガポール株についてご紹介していきます。
シンガポール株とは、シンガポール証券取引所(Singapore Exchange/略称:SGX)に上場している企業の株のことを言います。SGXでは、国内株だけでなく、外国企業も多く上場しているのが特色です。
これは、シンガポールの政策として、外国企業の誘致促進があり、そのためのメリットを多く用意していることがあげられます。例えば、外国企業の支社には税制の優遇が図られますし、法人税率も低く設定されています。実に、SGX上場企業の約4割が外国企業であり、時価総額では5割近くを占めているとも言われています。
また、SGXには「メインボード」と「カタリスト」という2つのマーケットがあります。「メインボード」は、一定の規模以上の優良な大型企業向け市場であり、「カタリスト」は、急成長をしている企業向けの市場です。
ご存じのように、株を買いたいと思った時は、証券取引所で直接購入することはできないので、いずれかの証券会社を通じて購入の手続きをすることになります。ここでは、シンガポール株を多く扱う日本の証券会社のひとつ、SBI証券の例を挙げてみましょう。
まず「株の購入単位」ですが、日本株と同じように、シンガポール株も100株以上、100株単位です。
次に「配当金」についてですが、シンガポール株の場合、仮に企業が前年度まで赤字で繰越欠損金が出ていても、今年度に黒字になっていれば、翌年度には配当が可能になります。日本の場合は、配当は「剰余(じょうよ)金の額に限る」という規定があり、シンガポールの方が、より柔軟に株主に配当していく姿勢があります。
次は「立会時間(=取引時間)」です。これは外国株を購入する際に気を付けたいポイントのひとつです。時差により取引に立ち会えない場合、朝目覚めてみたら、株が大暴落していた・・などということがあると不安ですよね。その点、シンガポールと日本の時差は1時間なので、とても安心できます。
SBI証券の場合は、シンガポール市場の立会時間はリアルタイムで買付が可能だそうです。これはネット証券では初のことだそうで、利便性が高そうですね。
【立会時間】月曜日~金曜日(祝日を除く)
<プレオープニングセッション1> 9:30~10:00(シンガポール時間 8:30~9:00) <前場> 10:00~13:00(シンガポール時間 9:00~12:00) <プレオープニングセッション2> 13:00~14:00(シンガポール時間 12:00~13:00) <後場> 14:00~18:00(シンガポール時間 13:00~17:00) |
そして、株を購入する時にチェックしたいもうひとつのポイントである「手数料」。特に外国株を購入する時は、手数料が割高になる可能性があるので十分注意したいところです。SBI証券では、取引手数料として、約定(やくじょう)代金、つまり株を購入した費用の1%(税込1.1%)がかかります。また、最低手数料としてS$30.8(税込)がかかるそうです。
それでは、実際にシンガポール株を購入するにはどんなステップを踏めばよいか見ていきましょう!
シンガポール株を購入するための4つのステップ
ここでは、シンガポール株を購入する4つのステップをご紹介します。とても簡単にできますので、シンガポール株がより身近に感じられると思います!
1. 口座を開設しよう
シンガポール株は、日本のネット証券会社から購入することができます。多くのシンガポール株を取り扱っている証券会社としては、例えばSBI証券や楽天証券などがあります。口座開設は、ネットから簡単にできるのでとても便利です!
2. 購入資金を用意しよう
証券会社に口座ができたら、シンガポール株を購入する際の決済通貨を選択します。「外貨決済」を選択する場合は、購入前に、日本円からシンガポールドルに為替交換して、発注する額に応じたシンガポールドルを口座に用意します。最初にシンガポールドルに替えてしまうので、その後のやり取りがシンプルですね。
もうひとつの決済方法は「円貨決済」です。こちらは事前にシンガポールドルに為替交換することなく、最初から日本円で購入します。日本円の範囲内で決済を行うので、取引時の為替レートに応じて金額が決まります。
3. 購入したいシンガポール株をチェック
シンガポール株を多く扱う証券会社を選択することは言うまでもありませんが、購入できるのは、シンガポール証券取引所(SGX)に上場している企業の株のみになります。
例えば、SBI証券では、シンガポールを代表する企業の株から選定した40銘柄(2022年3月時点)を購入することができます。シンガポール航空、ケッペル、シンガポール テレコム、DBSグループ、ウィルマー インターナショナルといった企業の株で、皆さんにも親しみある会社ばかりだと思います。
購入のポイントとしては、配当の利回りや株価の推移、今後の成長性の有無などがあります。もちろん、自分が好きな会社だから応援したいという思いから購入することも、大切な理由になります!
4. 購入したいシンガポール株を注文
100株以上、基本的な購入単位である100株単位で注文していきます。また、ひとつの注文の上限は、例えばSBI証券では500株と決められています。注文の際のルールも、証券会社によってさまざまなので、事前によく確認しておきましょう。
なお、シンガポール、日本それぞれにおいて、長期の連休や祝日が続く際は、取引ができないこともあるので、あわせて証券会社のサイトを確認しておくことをお勧めします。
アメリカ株について
アメリカ株と聞いて、皆さんはどんなイメージが浮かぶでしょうか?世界有数の名だたる企業がアメリカにあり、その株価の動きは、世界経済にも大きな影響を与えています。
特に、世界のIT化をけん引してきたGAFA(Google, Amazon, Facebook(現在はMetaに社名変更), Apple)はすべてアメリカの企業で、SBI証券のサイトによれば、Amazon社の株価は、過去10年でなんと約25倍も上がったそうです。信じられない高成長ですね!
アメリカの株式市場は、長期的に上昇傾向だそうで、日本でも人気の投資先です。その魅力は主に4つあるそうです。
1つ目は「1株から購入できる」ことです。日本やシンガポールの株は、原則100株からとなっているのに比べると、少ない手元資金でも購入しやすいことが分かります。
2つ目に「配当の頻度が高い」ことです。日本株の場合、配当は年1〜2回ですが、アメリカ株の場合は、四半期(3カ月)に1回と設定している企業が多く、配当の頻度が高いと言われています。
3つ目は「株主還元を重視している」ことです。アメリカでは株主に配当金を還元することを重要視する企業が多く、日本のように株主優待制度を持つ企業はわずかだそうです。現金か優待制度かは、投資した人の好みでもありますが、株主あってこその企業という考え方は、さすがアメリカですね。
そして4つ目は「高配当の銘柄が多い」ことです。先にあげた、アメリカの株主を重視する経営方針に基づいていますが、高配当の銘柄には、当然ながら株主も増えるので、配当と投資の好循環が生まれていると言えます。また、長期にわたり、連続して配当金が増加している優良企業の株が多く、中には50年を超えて毎年増配している企業もあるそうです。経営が安定している企業であれば、安心して投資することもできますね。
アメリカ株の購入のしかたは、基本的にはシンガポール株や日本株と同じです。まずは証券会社で口座を開設し、決済する通貨をアメリカドルか、日本円の選択をして、あとは気になる投資先を見つけて、買付の注文をする流れになります。
一点、シンガポール株と違うのは、アメリカと日本は大きく時差があることです。取引が行われるニューヨーク証券取引所の開設時間は、現地時間9:30~16:00であり、サマータイムなどもあることから、リアルタイムで買付を行うのが難しいこともあります。
時差に対応して、時間外取引のサービスを提供している証券会社もあるので、ぜひチェックしてみましょう。またアメリカ株の取引を強化していると言われるマネックス証券では、アメリカ株専用のアプリも提供しており、リアルタイムで株価の動きがチェックできるそうです。
また、アメリカ株を取引する際の注意点としては2つあげられます。ひとつは、日本の株式市場では「ストップ高」や「ストップ安」のように株価の制限が働きますが、アメリカの株式市場にはそのような制限がないので、急な株価の乱高下が発生する可能性もあります。また、ドル相場と円相場で生じる為替リスクにも十分注意が必要です。
もうひとつは、アメリカと日本の税制の違いです。株の配当金については、アメリカで10%課税された後、日本でも20.3%課税されます。これは日本で行う確定申告で外国税として控除できますが、申告しないままだと追徴されてしまいますので注意が必要です!
最近、日本では、芸人にしてIT企業の役員も務める厚切りジェイソンさんのアメリカ株への投資本が人気ですが、株価に一喜一憂せず、長期的な投資先としてアメリカ株を紹介しています。まずはアメリカ株について十分知識を持ち、長期的な視点で投資を検討してみてもよいかもしれませんね!
日本株について
老後資金は2,000万円必要だと、少し前に日本で話題になったことがありますが、ライフスタイルも変化し、今までどおりのお金の貯め方を見直す時期が来ているのかもしれません。最近は、スマートフォンで簡単に株の売買ができるネット証券も多いので、日本でも、年代を問わず株式投資を行う方も増えているそうです。
ここでは、日本株について簡単にご紹介しましょう。
国内で株の取引が行われる場所として、まずは3大証券取引所があります。日本最大の「東京証券取引所(東証)」、先物取引が行われる「大阪証券取引所(大証)」、そして「名古屋証券取引所」です。このほかに、主に九州の企業が上場している「福岡証券取引所(福証)」、そして、新興市場であるアンビシャス市場のある「札幌証券取引所」です。さらに、東京証券取引所ではその中に第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックなどがあります。
シンガポール株と同じく、日本株を買いたい時も、証券会社に口座を開設し、買付の注文を出します。最初はどんな株を買ったらいいのか分からないことも多いと思いますので、次のポイントに注意してみるとよいかもしれません。それは「手数料が安いか」「少額から投資できるか」といった点です。
例えばネット証券の場合、取引を頻繁に行う可能性があり、その都度手数料がかかることも考えられます。できるだけ手数料が低い証券会社、または月額で手数料を支払うサービスを提供する証券会社もあるので、ご自身の投資スタイルをイメージして選ぶようにしましょう。
また、投資を初めて行う際は、少額から投資するようにしましょう。日本では、基本的に上場している株の購入単位は100株からとなっていますが、最近は、ミニ株やひと株から購入できるものもあります。
どの株に投資するかについては、さまざまなリサーチ方法があります。例えば、気になる企業のサイトに掲載されているIR情報をチェックしてみたり、企業が提供しているサービスについて深く調べてみるのもいいですね。あるいは、日常生活の中で、次にはやりそうなサービスを調べてみたり、スーパーマーケットに行った時に、売れ筋の商品を探してみることも役立ちます。投資をすることは、社会参加につながりますね!
「お金」のこと、今から学びませんか?
今回は、シンガポール株の買い方をはじめ、日本株やアメリカ株についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?「投資」と聞くと、自分には遠い話・・と思われる方も多いと思います。実際、日本では「お金について学ぶ」機会は、実はあまり多くなかったのかもしれません。
金融広報中央委員会(事務局:日本銀行)が3年に一度行っている「金融リテラシー調査」の最新の結果によると、欧米諸国と比べて、残念ながら、日本の金融リテラシーは高いとは言えないそうです。
スマートフォンで気軽に投資ができるようになったり、投資の情報が身近になってきた今だからこそ、「お金」の知識を増やして、投資の目標とゴールを定めてみることは大切かもしれません。最近では、若い世代や子ども向けのお金の勉強に関する情報サイトも多くあります。例えば、「投資の時間」(日本証券業協会)、「知るぽると」(金融広報中央委員会)、「ちょっと注目!」(金融庁)「学生投資連合公式サイト」(USIC:学生投資連合)などとても分かりやすく、投資の基礎から学ぶことができます。ぜひ、楽しみながら、お金についての知識を深めてみてはいかがでしょうか。
日々ダイナミックに動いているシンガポール経済を目の当たりにできることは、シンガポールライフの醍醐味ですね。ぜひ「お金」といいご縁をつくりましょう!
●参考文献
シンガポール経済開発庁. 「シンガポール投資ハンドブック 」
(参照:2022年3月)
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
●投資はあくまで自己判断によるものであり、本記事の情報は投資の結果に影響を与えるものではありません。予めご了承ください。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!