英国植民地時代の建造物を利用するナショナルギャラリー シンガポールは近現代アートの宝庫!
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City Hall駅近くにある旧最高裁判所と旧市役所をビジュアルアート施設として使用しているナショナルギャラリー シンガポール。歴史的な2つの建造物に現代アートのコレクションが所蔵され、13階分のスペースを使ったシンガポール最大、東南アジア最大級の多彩なアートを鑑賞できます。
ナショナルギャラリーの基本情報
ナショナルギャラリーは、City Hall駅から数分のところにある旧最高裁判所と市庁舎の建物を使用している公共美術館です。イギリス植民地時代を想わせる2つの歴史的な建築物は、シンガポールのアートや東南アジアの芸術品、文化や伝統、歴史を理解するためのコレクションが収蔵され、シンガポールの観光スポットとしても人気の場所です。
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National Gallery Singapore(ナショナル ギャラリー シンガポール) 住所:1 St Andrew’s Rd, #01–01 S178957 最寄り駅:City Hall駅 営業時間:10:00-19:00 定休日:無 電話番号:6271 7000 WEBサイト |
ナショナルギャラリーの建築
国指定文化財である旧最高裁判所庁舎と市庁舎の2棟から構成され、どちらの建物もシンガポールの歴史において重要な役割を果たしてきました。地下通路とブリッジで繋ぎ、2棟を繋いで6万4千㎡に及ぶギャラリーとして2015年に設立。
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旧最高裁判所庁舎は、1939年8月3日から2005年6月20日までシンガポールの最高裁判所の旧裁判所として使用されていました。隣の市庁舎の建築とともに、イギリスの建築様式で建てられています。中央の円形建築を囲む4つのブロックのオフィスと法廷で構成されています。
コリント式とイオニア式の柱、彫刻、レリーフパネルは、イタリアの芸術家、カヴァリエール・ルドルフォ・ノリの作品でした。ティンパヌムの彫刻と装飾されたフリーズパネルがあります。
市庁舎は1926年〜1929年の間に建設。イギリス建築家A・ゴードンとSDメドウズによって設計されました。この建物には、シンガポールの初代首相リー・クアンユーの事務所もあり、1959年6月5日に市庁舎で忠誠宣誓と就任宣誓を行った場所でもあります。
1992年2月14日に国指定文化財に認定。市庁舎の建築様式は、新古典主義のイギリス建築の典型的なものです。
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ナショナルギャラリーの代表的な展示物
主に展示物は近現代美術で構成され、19世紀から現在までのシンガポールと東南アジアのアートに焦点を当て、シンガポールギャラリーと東南アジアギャラリーの2つの常設ギャラリーを設置しています。それらのコレクションを通じて、シンガポールと周辺地域の文化の発展や歴史、社会経済などその時代の背景も紹介しています。
ギャラリーは主に、シンガポールのナショナルコレクションを展示。1976年に有名な映画界の大物であり芸術のパトロンであるDato Loke Wan Thoによって国立博物館に贈られた93点の作品寄贈を受けました。
これらのコレクションは2010年には約8000点にも拡張。Georgette Chen(ジョージェット・チェン)、Chen Chong Swee(チェン・チョン・スィ)、Chen Wen Hsi(チェン・ウェン・チィ)、Cheong Soo Pieng(チェン・ソーピエン)、LiuKang(リウ・カン)などの主要なシンガポールのアーティストの作品をメインに展示しています。
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展示は、20世紀初頭の絵画からビデオインスタレーションにまで及び、アファンディ(インドネシア)、ラティフ・モヒディン(マレーシア)、ル・フォー(ベトナム)、モンティエン・ブーンマ(タイ)、フェルナンド・クエト・アモルソロ(フィリピン)、ラデン・サレー(インドネシア)といった東南アジアの国際的な芸術家の作品も含まれています。
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草間弥生やマーク・ロスコといった国際的なアーティストの展示も以前行われていました。ガイドツアーや、アーティストによる講演といったさまざまなプログラムにも参加可能です。
ナショナルギャラリーの日本とかかわりの深い展示物
旧市庁舎の会議場(City Hall Chamber)は、1945年9月12日に日本軍が降伏した場所です。また、シンガポールの初代首相であるリー・クワンユー氏が宣誓をした場所でもある歴史的な場所です。
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ルーフガーデンギャラリー
屋上には、Ng Teng Fong(ン・テン・フォン)氏によるルーフガーデンギャラリーがあり、シンガポールアイコンとなりえる眺望を水面を利用したアート作品のように鑑賞を楽しめます。
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ナショナルギャラリーの子どもも楽しめるスペース
ケッペル芸術教育センター(Keppel Centre for Art Education)
ケッペル芸術教育センターは、市庁舎棟の1階にある子ども向けの空間として、想像力、創造性を育む体験型のアートスペースです。ケッペルコーポレーションの支援により実現したこのセンターでは、子どもたちの探究心を刺激するため特別なワークショップなど一年中さまざまなラインアップのプログラムを用意しています。
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レストラン情報
Odette
ナショナルギャラリー1階にあるオデット(Odette)は、ミシュラン三つ星レストランとアジアベストレストランに選ばれているフレンチレストラン。料理、サービス、プレゼンテーション、雰囲気、全てにおいて非の打ち所がない最高峰レストランです。
お店の名前の由来は、シェフであるジュリアン・ロイエの祖母の名前からとったものだそうで、彼が料理の世界に入るルーツとなった祖母への尊敬の意を表しているとのこと。美術館内のスペシャルなフレンチレストランで極上の時間を過ごせる場所です。
Odette(オデット) 住所:1 St Andrew’s Rd, #01-04 National Gallery, S178957 最寄り駅:City Hall駅 営業時間:火曜〜土曜12:00-13:15、18:30-20:15 定休日:日曜、月曜 電話番号:6385 0498 他店舗:無 WEBサイト |
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National Kitchen by Violet Oon
ナショナルギャラリー2階にあるプラナカン料理のお店。島内にいくつかあるVioletOon系列のレストランです。1920年代スタイルを基調としたタイルのダイニングルームで、ドライラクサやサテー、ビーフレンダン、チキンライスなどシンガポールならではのシグニチャーメニューを堪能できます。
National Kitchen by Violet Oon(ナショナル キッチン バイ バイオレット オン) 住所:1 St Andrew’s Rd, #02–01 National Gallery, S178957 最寄り駅:City Hall駅 営業時間:12:00-17:00、18:00-22:30 定休日:無 電話番号:9834 9935 他店舗:ION、Jewel WEBサイト |
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一日中アートを楽しみ尽くせる美術館
かなり広大な敷地に、数多くのアートや東南アジアの歴史的資料、体験型設備など、大人から子どもまで楽しめるナショナルギャラリー。時間のない人は外観や入口付近、無料展示のエリアだけ、時間がある人には有料展示までと利用すれば、さまざまな形で施設利用が楽しめます。用途に合わせて利用できるのも魅力の一つです。
歴史的な建築物の中で、他とは違うミュージアム体験をしたい人にはもってこいの場所です。ぜひ足を運んでみてくださいね。
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この記事を書いた人
Natalie
駐在4ヵ国目、2児の母。 日本で旅行情報誌の制作・編集を経て、在住国の海外邦人向け情報誌のライターへ。 お値打ちで美味しいもの、安く手に入る雑貨などを好むプチプラ・ラバー。激辛激甘に目がない。推しのKPOPを聴くこと、ドラマや映画を観ること、ゴミ拾いが趣味。