多民族国家のシンガポール!マナーや食事など特徴的なその文化をご紹介!

シンガポールについてもっと知りたいと思いませんか?今回は、知れば知るほど面白いシンガポールの文化的特徴や興味深い生活習慣をおさらい!多民族国家ならではの伝統文化から注意したいルールまで詳細にご紹介します!


シンガポールの伝統文化・プラナカン

プラナカンの歴史

プラナカン文化とは、東洋と西洋のスタイルを取り入れた美しい伝統文化。15世紀後半からマレーシアやシンガポールにやってきた中国系移民の子孫たち「プラナカン」は、中国やマレーの文化とヨーロッパの文化をミックスさせ、独自の生活スタイルを築きました。そのルーツは漢民族ですが、現在は中国語よりも英語を話す人が多いです。

数世紀にわたる歴史の中、マレーシアやシンガポールとは違う文化を生み出していますが、中でも大きく違うのが建築や服装、陶器などをはじめとした工芸品です。プラナカンは世界中から自分たちが良いと思えるものを収集し組み合わせることで、極めてオリジナリティの高いものを創造することができたのではないかと言われています。

プラナカン建築

プラナカンには裕福層が多く、建物は西洋建築と中国的なデザインを取り入れたものが多く見られます。外観は明るいパステルカラーで、西洋建築風のよろい窓やおしゃれな柱が特徴です。建物の正面にはレースや花模様などが施され、その宝石のような美しさに魅了されます。

中国やインドのデザインにも影響されていて、まさに東西文化を融合させた住居です。色とりどりの化粧しっくいの壁に両開きのフレンチウィンドウ、アクセントに漢字の看板が入った2階建ての家並みは「ショップハウス」と呼ばれる家屋。1階を店舗、2階を住居として使います。


プラナカンの民族衣装

プラナカンは服装も特徴的でおしゃれ!女性は全体的に体のラインが出るデザインが多く、靴には美しいビーズ刺繡が施されています。

子どものころから教え込まれるほどビーズ刺繍はプラナカンの華麗で重要な文化の一つ。靴に1mmもないビーズを使ってモチーフや絵柄を縫い付けます。ビーズのサイズが小さいほど技術の難度も上がります。一足を作成するのに2~3カ月かかることもあるそうです。

繊細な刺繍が施されたブラウス「ケバヤ」と、スカートの役目をする腰布「サロン」を組み合わせた服は「サロン ケバヤ」と呼ばれ、現在もこれを着て結婚式に出席する人もいます。プラナカン女性の習慣として、花嫁修業の時に刺繡を身に着けていたようです。そのため、全体的に華やかで優雅なデザインの服が生まれました。また、ケバヤが七分袖であるため、自慢の品を強調することができました。


シンガポールの食生活

プラナカン料理

多民族が暮らすシンガポールでは中華料理、インド料理、マレー料理などの、さまざまな料理が楽しめます。中でもマレー料理と中華料理が融合したプラナカン料理は、伝統的な料理として有名。女性(ニョニャ)が料理をすることが多いことから、プラナカン料理は「ニョニャ料理」とも呼ばれています。

東南アジア独特のハーブやスパイスを使用したココナツミルクと中華の食材を合わせたものが多く、メニューが豊富なところが特徴。スパイシーなニョニャ ラクサや、蟹を炒めたシンガポール チリ クラブなどが代表的です。


シンガポールグルメならホーカー

シンガポールでは、朝昼晩の3食以外にティータイムや夜食なども食べます。一回の食事量は多くありませんが、回数を多く食べるのです。また、共働きの家庭が多く自炊は非効率的と考えられているので、家で食べることはあまりありません

地元のシンガポール人は、早朝から夜遅くまで年中無休で営業している「ホーカー」と呼ばれる屋台街に行きます。安くて手軽で美味しいホーカーは、多民族国家のシンガポールの食生活には欠かせない場所。宗教上食べられない食材があっても屋台には麺、ご飯、海鮮、肉料理など全てがそろっていて、ベジタリアンメニューも豊富に用意されています。

ホーカー以外にもベジタリアン専用やハラル料理のレストランなども多く、一般的なスーパーマーケットにもハラール認証を受けた食品が揃っています。


家庭料理も多民族国家ならでは

シンガポールの家庭料理は自分の祖先が中国系、マレー系、インド系かによって大きく違います。

シンガポールのローカルフードとして有名なチキンライスは、中国の海南地方の人たちが持ち込んだ料理と言われています。タマリンドやクミンなどのスパイスを使ったスープの中に、鯛などの魚の頭が入ったフィッシュヘッドカレーは、インド南部のケララ州からシンガポールに渡ってきたインド人が生み出したそう。

主食はお米と麺が多いですが、「ヨウティヤオ」と呼ばれる中国風の揚げパンや、インド系の家庭では「ロティ」というパンも主食として食べられています。

多様な人種や宗教が混在しているシンガポールでは、ホームパーティーなどを計画する場合も注意が必要。特にイスラム教の人を含んでいる場合は、ハラル認定のお店から材料を調達するのがおすすめです。

シンガポールのマナー/ルール

シンガポールで注意したいルールと罰金

さまざまな民族と宗教からなるシンガポールでは国内の秩序を維持するため、細かくて厳しいルールがたくさんあります。

まずMRTやバスのような公共交通機関では、車内での飲食が禁止。ペットボトルの水を飲むだけでも罰金の対象になります。もし車内で飲食をしてしまった場合は、S$500の罰金となります。また「フルーツの王様」と言われるドリアンも公共交通機関では持ち込みが禁止されています。ホテルも禁止されているところが多いので、確認が必要です!

次にゴミのポイ捨て。その代償は大きく、CWO(Corrective Work Order:是正作業命令)の実施と罰金の支払いがあります。CWOとは公共の場で黄色いベストを着てゴミ拾いをすることで、法律違反をした人というのが一目で分かる、とても恥ずかしい作業命令。小さなゴミを捨てた場合の罰金は初犯がS$300ですが、意図的に大きなゴミを捨てた場合はS$2,000も払うことに!

シンガポールでは2015年に「酒類管理法(Liquor Control Act)」が施行され、22:30から翌朝7:00まで、スーパーやコンビニエンスストアでのお酒の販売と公共の場所での飲酒が禁止されています。許可を得ているレストラン、バー、ナイトクラブでは22:30以降でも飲酒が可能ですが、違反した場合はS$1,000の罰金が科せられます。

最後にシンガポールに入国する時ですが、空港の所持品検査でチューインガムを持っている場合は入国できません!シンガポールでは、チューインガムは製造も販売もされていません。また国内で食べることも許されてないのです。国内に持ち込んでしまった場合、S$10,000もの罰金刑になります!



シンガポールのびっくりする罰金

シンガポールには「これもダメなの?」とびっくりするような罰則もあります。

日本でも法律で禁止されている、公共の場でつばを吐くことはシンガポールでは初犯でS$1,000、2回目で最大S$2,000もの罰金が科せられます。また公共の場で大音量の音楽を流すこと、他人を不快にさせるような音楽を流すこと、下品と思われる歌詞で歌うことなどは禁止。違反した場合は、罰金ではなく3カ月の禁固刑です。

横断歩道や歩道橋を渡らず車道を横切ろうとした場合は、最大S$500、再犯で最大S$2,000まで罰金が科せられるそう!デジタル国家ならではのルールには、フリーWi-Fiだと思って見知らぬ人のネットワークに入ってしまった場合に科せられる、S$10,000の罰金などもあります。

他にも「家の中で裸でいること」、「鳩にエサをやること」、「トイレを流さない」などの、ちょっと信じられないようなルールがあります。家の中で裸でいることを誰かに見られただけで、罰金はなんとS$2,000!公園のベンチで何気なく鳩にエサをあげた場合、最大S$10,000になります!トイレを流さないだけで罰金に値し、違反すると罰金はS$150からS$500からとなっています。

知らないうちにルール違反になることもありますので、注意が必要です!




多民族国家、シンガポールの言語

シンガポールには公用語が4つあります。英語、中国語、マレー語、タミル語が公用語として使われていて、国語はマレー語です。ただし使用の割合は英語と中国語が85%以上を占めていて、この背景にはシンガポールの歴史が関係しています。

シンガポールは第二次大戦後、イギリスの植民地支配下になりました。そして1963年にマレーシア連邦の一部として独立しました。しかしマレー半島にある国でありながら中国系住民の割合が圧倒的に多く、マレー系住民が多いそれ以外の地域との意見が対立していきます。そして1965年にシンガポールは、主権国家としてマレーシア連邦から独立したのです。

中国系住民が多い状況は2020年の推計でも変わっておらず、過半数を占めています。英語は、世界中で使われている言葉であり経済発展に不可欠。そのため公用語の一つに定められました。

またシンガポールの総人口に占める移民の割合が40%以上と非常に高く、彼らとの共通言語を定めるという側面もあったと思われます。かつての宗主国であるイギリス英語がベースですが、シンガポールで独自に生まれた英語の変種「シングリッシュ」が使われています。

シンガポール憲法でマレー人がシンガポールの先住民であると規定されていて、その言語や文化を保護することが政府の義務と定められています。そのため、マレー語は国語として定められているのです。

シンガポールの人口の9%がインド系とされていて、インド系住民の多くはタミル語を母語としています。これは、彼らがインド南東部のタミル・ナードゥ州から移住してきたからと言われています。

シンガポールの若い世代のほとんどが、英語と自身の民族の言語の2言語を話すバイリンガルです。しかし社会人になると英語以外の言語を使わなくなってしまい、英語以外の公用語である中国語、マレー語、タミル語の地位が低下してしまっています。そしてこの傾向は、今後さらに加速すると見られています。


多民族国家、シンガポールのお祭り

旧正月

中国系の人が人口の7割以上を占めるシンガポールのお正月は、旧正月(チャイニーズ ニューイヤー)と呼ばれる盛大な祝祭です。お祝いする時期は毎年変わり、1月下旬~2月中旬です。

1月に入るとチャイナタウンを中心に、イルミネーションや飾り付けが本格的に開始!チャイナタウンで開催されるオープニングセレモニーでは、さまざまなパフォーマンスを見ることができます。

中国系の人たちは、旧正月に「魚生(ユーシェン)」という刺身のサラダを食べます。「ローヘイ!」と掛け声をかけながら食べるので、ローヘイという名前でも広く浸透しています。縁起の良い食材をふんだんに使った中国正月に欠かせない料理で、色とりどりの野菜は「家族の調和」、刺身は「富」、ワンタンの皮は「金運」、ピーナッツやゴマは「長寿・健康」を願って使われているそうです。


中秋節

中国の伝統的行事である中秋節は、シンガポールでも重要なお祭り。日本のお月見に近い中秋節は、古代中国の皇帝が月へ秋の豊作を祈っていた祭事から由来したと言われています。

街にはランタンなどのイルミネーションが見られ、市内のお店では月餅(ムーンケーキ)が売り出されます。中秋節に欠かせないのがこの月餅。「満月と同じ形」という意味で月餅を食べるそうです。日本でお月見団子を食べるのに似ていますね。

シンガポールの月餅はパイナップル、マンゴー、バナナなど味の種類が豊富。若者の間ではチョコレート味やチーズ味も人気で、なんとアイスの月餅も!

そして中秋節にはランタン(灯篭)も欠かせません。昔は夜道を照らすための必需品でしたが、現在は子供たちが遊ぶおもちゃとしてランタンを家に飾ったり、数多くの手作りのランタンが夜のシンガポールの街を彩っています。


多民族国家ならではの文化

多民族国家のシンガポールには、中国の伝統行事以外にもさまざまなお祭りがあります。

イエスキリストの受難と死を記念する「グッドフライデー(聖金曜日)」は、多くのクリスチャンにとって重要な意味を持つ日。シンガポール各地の教会では特別な礼拝が行われ、キリスト教徒は家族や友人を集めて特別な食事を楽しみます。

世界中の仏教徒にとって最も神聖な日とされているのが「ベサックデー」。お釈迦様の誕生、成道(悟りを開いた日)、入滅(亡くなった日)を記念する日で、シンガポールでも多くの仏教徒が島に点在するさまざまな仏教寺院を訪れ、礼拝と祈りの日を過ごします。

預言者アブラハムの神に対する忠誠心と信頼を称えるための祝祭「ハリラヤハジ」は、イスラム教のお祭り。イスラム教徒は地域のモスクで祈りを捧げ、お互いの家を訪問し交流します。シンガポールの主なイスラム教徒はマレー人で、マレー料理を中心としたメニューを家族や友人と楽しみます。




調和して共存するシンガポール

さまざまな民族、文化、そして宗教が共存するシンガポール。異なる背景を持った人々が独自の文化や生活様式を守り、お互いを尊重しながら暮らしています。多民族を分断せず、すべての宗教の信者が同じシンガポール人として共にお祝いすることで、最も調和的な多民族国家のひとつとして繁栄を遂げているのかもしれません。

記事内容は執筆時点の情報に基づきます。





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この記事を書いた人

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