シンガポールのゴミ分別&捨て方を住居別に徹底解説!ゴミ出しは有料?粗大ごみや電子機器は?

「シンガポールはゴミの分別にルーズだときいた。だから適当に捨てて良いだろう」

今後渡星を予定している人や、渡星したばかりの人の中にはそんな印象を持つ人もいるかもしれません。たしかに従来シンガポールは、ゴミの分別に比較的寛容だったといわれています。

しかし近年は環境問題に対する意識の高まりから、ゴミの分別やリサイクルを積極的に進めていこうという流れが生まれているのです。

この記事では、シンガポールのゴミ問題や分別ルール等をみていきましょう。





①シンガポールでゴミ分別が注目される背景

そもそもなぜゴミの分別が大切なのでしょうか。

東京23区よりもやや広い程度のシンガポールにおいては、ゴミを処理する場所が非常に限られています。

シンガポールでは2020年に、1日で約1万6000トンのゴミが出ました。これは1970年と比べて十倍以上の量です。このペースでゴミが出され続けると、埋立地のセマカウ島は2035年には一杯になると見込まれています。

そこで政府はゴミの量を減らそうと様々な政策を実行してきました。例えば2019年に議会で可決した資源サステナビリティ法です。

この法律では、電気・家電製品、容器包装、食品のゴミの廃棄やリサイクルのルールが定められました。

これからもシンガポールが美しい国であり続けられるように、みなさんもゴミの分別に協力してみてはどうでしょうか。


②ゴミ分別のルール

では、シンガポールのゴミの分別のルールをみていきましょう。

国の機関であるNEA(National Environment Agency:国家環境庁)は、ゴミを「リサイクルごみ」と「一般ごみ」に分けることを推奨しています。それぞれ説明しましょう。

リサイクルごみ

リサイクルごみは、①ガラス②紙③プラスチック④缶の4つ。

これらは下記写真のようなラベルが貼られたゴミ収集ボックスに、まとめて捨てます。

収集されたゴミは、品目ごとに分けられた上でリサイクル工場に運ばれ、リサイクルされるのです。

場所によっては種類ごとに別々のゴミ箱に入れるのですが、4種類のごみをまとめて一つのボックスで回収するところが驚きですね。


一般ごみ

一般ごみは、リサイクルごみ以外の多くのごみです。日本のように燃えるゴミや燃えないゴミの分類はせず、まとめて焼却場で焼却されます。


③ゴミ捨てのルール(有料・専用袋無し)

次に、どのようにしてゴミを実際に捨てればよいのかをご紹介します。住宅のタイプごとに①HDB②コンドミニアム③一軒家に分けて説明しましょう。最後には④公共の場におけるゴミ捨てについても書きました。

なおシンガポールではゴミ収集が有料となっています。そこで、2022年1月1日から適用されている新料金も、あわせてお伝えします。また現在、専用のゴミ袋は採用されていません。分別したゴミはそのままダストシュートやゴミ箱に出します。

※実際のお住いの場所によって若干異なる場合があります。お住まいのルールの事前確認がオススメです。


HDB

HDBとは、シンガポールの住宅開発庁(Housing and Development Board)が提供する公営住宅です。

ごみ収集料金:月$9.63(税込み)

一般ごみの出し方①:各家庭にダストシュートがある場合(1989年以前の建物)

ダストシュートにゴミを入れると、階下にあるゴミ箱まで落ちていきます。ゴミ回収業者が各ゴミ箱のゴミを取り出して、ゴミ集積場に集めます。そこに集められたゴミは焼却場へ運ばれるのです。

一般ごみの出し方②:各階共同ダストシュートがある場合(1989年以降の建物)

各階にある共同ダストシュートにゴミを持っていき、ゴミを入れます。入れられたゴミはゴミ収集車専用ゴミ箱に集められた後に、業者によって回収されて焼却場へ運ばれます。

共同ダストシュートが生まれた背景には、各戸のゴミを集める手間を減らしたいという思惑があります。

一般ごみの出し方③:ゴミ置き場に直接持っていく

もちろん、ダストシュートを使わずにゴミ置き場に直接捨てることもできます。

リサイクルごみの出し方

各建物にある専用のゴミ置き場に捨てます。


コンドミニアム

コンドミニアムとは、民間のマンションのことです。

ごみ収集料金:月$9.63(税込み)

一般ごみの出し方

HDBと同様にダストシュートに捨てるか、ゴミ置き場に直接捨てに行きます。HDBよりもコンドミニアムで普及しているゴミ集積システムに、「バキュームごみ収集システム(PWCS: Pneumatic Waste Conveyance System)」があります。

PWCSは、ダストシュートに入れられたゴミを空気の力を利用してゴミ集積場まで送るというシステム。シンガポールのように年中高温の環境であってもゴミが腐りにくく、衛生的で人的コストも削減できるとされています。そのため、今後さらに多くの建物で導入されることが見込まれています。

リサイクルごみの出し方

HDBと同様に各建物にある専用のゴミ置き場に捨てます。


一軒家

ごみ収集料金:月$32.07(税込み)

ごみの出し方

家の前に「一般ごみ」と「リサイクルごみ」の2つのゴミ箱があるので、それぞれに分別して捨ててください。なお一般ごみ用のゴミ箱には、ゴミ収集業者によって各戸の住所が書かれています。


公共の場


シンガポールの道や公園には至るところにゴミ箱が設置されています。ただし日本と違ってコンビニではゴミ箱を見かけませんし、スーパーには牛乳パックやトレイの回収ボックスがありません。

なお、シンガポールはポイ捨てに非常に厳しい罰金を課すので(初犯でも最高$2,000)、路上にゴミを捨てることは絶対に避けましょう!



④粗大ごみ・電子機器のルール

ここでは「一般ごみ」や「リサイクルごみ」以外の①「粗大ごみ」と、②「電子機器(e-waste)」の出しかたについて紹介します。


粗大ごみ

NEAは粗大ごみの例として次を挙げています。
テーブル、イス、戸棚、マットレス、電子レンジ、ガスレンジ、食洗機


粗大ごみの出し方は、住宅タイプ別に次のようになっています。

HDBに住んでいる場合は、地域の自治会(Town council)に連絡をして、ゴミ収集業者に回収してもらいます。各自治体が費用を負担してくれるので1か月に3個まで無料で、4個目からは有料となる場合が多いようです。

コンドミニアムの場合、各建物の粗大ごみ置き場に置いておくと、契約している収集業者が回収してくれます。もう一つは、ゴミ回収業者に直接連絡を取って回収してもらう方法です。

ただしお住まいの場所によりルールが異なることがありますので、事前にルールを確認していただくことをオススメします!

一軒家から出す場合は、ゴミ回収業者に直接連絡を取って回収してもらいます。なお料金は別途必要となります。


電子機器(e-waste)

シンガポールでは年間約6万トンに及ぶ量の電子機器が廃棄されているといわれており、シンガポール政府は対策を急いでいます。

その一環で2021年7月1日から、一部の電子機器を処分する責任をメーカーや輸入業者に課す法律が施行されました。この法律に当てはまるICT機器(携帯電話やパソコン等)を捨てる方法は2つあります。

一つはタウンセンターやショッピングモールなどに設置されているリサイクルボックスに入れる方法です。

もう一つは大型小売店に設置が義務付けられている店頭回収サービスを利用する方法になります。

捨てられたe-wasteは、認可を受けたe-wasteリサイクル業者によって、リサイクル前にデータを確実に消去されることとなっています。そのため、捨てる前にデータをこちらで消す必要はありません。

またe-wasteの回収および処分費用はメーカーおよび輸入業者側が負担することになっているので、無料で捨てられます。


⑤ゴミ分別で美しいシンガポールをいつまでも!

今回はシンガポールにおけるゴミの分別方法と、住宅タイプ別のゴミの出し方および粗大ごみと電子機器の捨て方をご紹介しました。

これからもシンガポールが美しい国であり続けられるように、ゴミの分別にしっかり取り組んでいきたいですね!

※本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

  • 帰国生のミカタ
  • SingalifeBiz