【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベント その295
-ナショナルデー-

シンガポールの年中行事の中で最も重要なイベントがやってきます。それは8月9日の「ナショナルデー」シンガポール建国記念日です。常夏のシンガポールでは、季節の移り変わりを肌で感じることはあまりありませんが、この時期になると街全体がお祭りムードに包まれます。

ナショナルデーは、1965年8月9日にシンガポールがマレーシアから独立して建国した日を記念する国民的な祝日です。今年で59回目。これまでシンガポールは、リー・クアンユー氏、ゴー・チョクトン氏、リー・シェンロン氏と力強いリーダーシップのもとで発展を遂げてきました。そして今年は、新しく就任したローレンス・ウォン首相とターマン・シャンムガラトナム大統領の下で初めてナショナルデーを祝うことになります。

街を歩けば、至るところでシンガポールの国旗である赤と白の色彩を目にします。この2色は、赤が「親愛と平等」、白が「高潔さ」を表しています。7月に入ると多くの住宅に国旗が掲げられる光景が増えます。特に公営住宅地区では家々が整然と国旗を翻す風景が、一種の風物詩となっていて、この時期のSNSには国旗が並んでいる写真が数多くアップロードされています。



ナショナルデーの当日は、国を挙げて「ナショナルデー パレード(NDP)」が盛大に開催されます。1966年の第1回から年を追うごとに規模が拡大し、軍事パレード、市民パレード、芸能パフォーマンスなどのプログラムが用意されます。クライマックスは夜の豪華な花火で、カラフルな花火が夜空を彩ります。国が豊かになり世界的に見ても裕福な国家に現在はなっています。しかしここに至るまではさまざまな困難がありました。



シンガポール建国前は、一度は夢見て実現したマレーシアとの統合。その一部となったシンガポール。しかし、マレー人優遇政策を採ろうとするマレーシア中央政府との軋轢が激しくなり、結果マレーシアから追い出されるような形で独立をせざるを得なかったシンガポール。ナショナル ミュージアムを訪れると、亡きリー・クアンユー首相が、悔しさのあまりテレビ放送の前で涙を流すシーンが繰り返し放映され、当時の苦渋な思いを知ることができます。

そしてリー・クアンユーは、全身全霊を持って建国後、国づくりに邁進。持っている強みをすべて活用し、主要な商業ハブ、金融センター、グローバルハブセンターとなり、気づいたらアジアナンバー1、そして世界でも有数な富裕国家となりました。

今年のナショナルデーのテーマは、「Together, As One United People(一つの民として共に)」と、国民の結束を意味するテーマが掲げられています。ナショナルデーはシンガポール人にとって、過去の歩みを振り返り、現在への感謝と未来への希望を皆で分かち合う重要な祝日。シンガポールに住んでいるこの機会に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。国が一つになる瞬間をぜひ体感してほしいと思います。

なお、ナショナルデーの詳細については、政府から発表されるスケジュールでご確認ください。国立博物館を訪れ、この国の豊かな文化と歴史を深く理解し、楽しむひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

大人の社会科見学 筆者

森山 正明
大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3カ月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。

2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。



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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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