【大人の社会科見学】
シンガポールで楽しむイベントその303
-ハウパー ヴィラ-

世にも不思議なテーマーパーク  虎豹別墅(ハウパー ヴィラ)

虎豹別墅(ハウパー ヴィラ)は、シンガポールにあるユニークなテーマパークで、世界的にも稀な存在として知られています。1935年に開園されたこの場所は、タイガーバーム(虎標萬金油)の創業者である文虎・文豹兄弟によって作られました。兄弟は、タイガーバームの成功によって得た富を使い、彼らの中国文化への愛着を表現したテーマパークを構築したのです。当初は「タイガーバームガーデン」として知られ、多くの観光客に親しまれてきました。

虎豹別墅の最大の特徴は、中国神話や説話、道教の教えに基づいた数々の彫像やジオラマです。園内には1000以上の彫像と約150のジオラマが配置されており、これらはすべてコンクリートで作られ、極彩色で装飾されています。代表的なテーマとしては、『西遊記』や『山海経』に登場する神仙や妖怪、『二十四孝』に基づく道徳説話などが挙げられます。これらの彫像やジオラマは、その鮮やかな色彩や独特のデザインが特徴で、時にはグロテスクにも見えることがあります。しかし、その非現実的で幻想的な雰囲気こそが、訪れる人々を魅了する要素の一つとなっています。

このテーマパークの中でも、特に注目されるのが「十六地獄」のエリアです。このエリアでは、生前に悪行を犯した人々が地獄でどのように罰を受けるのかが、詳細に描かれています。洞窟内に設置された地獄のジオラマは非常にリアルで、赤や青の照明が不気味な雰囲気を一層引き立てています。このため、特に子ども連れの家族が訪れる場合は、恐怖感を抱く可能性があります。しかし、この異様な雰囲気は、大人にとっては一見の価値があり、多くの観光客がこのエリアで足を止めて見入っています。

また、虎豹別墅のもう一つの見どころは「西遊記の世界」です。ここでは、孫悟空や三蔵法師、猪八戒、沙悟浄など、誰もが知っているキャラクターが等身大のコンクリート像として登場します。これらの像は、それぞれユーモアたっぷりのポーズや表情が特徴で、観光客はつい写真を撮りたくなるような作品が多く、SNS映えするスポットとしても人気です。訪れた人々は、西遊記の登場人物たちと一緒に写真を撮り、楽しい思い出を作ることができます。

かつては、虎豹別墅はシンガポール以外にも存在していました。香港と中国福建省に同様のタイガーバームガーデンがありましたが、2000年に香港の施設が閉鎖され、福建省のものは博物館に転換されたため、現在ではシンガポールのハウパー ヴィラだけが現存する唯一の虎豹別墅となっています。このため、シンガポールの虎豹別墅は世界的にも貴重な観光地となり、訪れる価値がますます高まっています。

友人や家族と一緒に、この不思議なテーマパークを訪れてみてはいかがでしょうか。日本では体験できない異世界の雰囲気を味わいながら、中国の豊かな文化や神話に触れることができます。虎豹別墅は、その独特な世界観と歴史的背景を通じて、訪れる人々に忘れられない体験を提供します。


大人の社会科見学 筆者

森山 正明
大人の社会科見学シンガポール版は、シンガポールで生活している方々へ、シンガポールの奥深さを知ってもらいたい思いで活動を始めました。「3カ月も住んでいればシンガポールは飽きてしまう」と巷では言われますが、なかなかどうして、この地ならではの楽しみは、尽きることはありません。

2013年11月からこのサークル活動を始めて約11年。行ったイベントは、200回を超え、その中から読者の方にもシンガポールの文化や習俗について年中行事を軸に紹介をして参ります。
 
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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。



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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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