<ホーカーを守れ!>大手宅配アプリより手数料が低いサービスを使ってホーカーを応援

シンガポールでは新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況で、サーキットブレーカーと呼ばれる外出制限措置が6月2日まで行われ、その期間中レストランや居酒屋といったすべての飲食店で、店内飲食は禁止され、持ち帰りだけの営業となっています。
サーキットブレーカー自体は6月2日に解除されて経済活動が徐々に再開されますが、シンガポール政府は2日以降もしばらくの間は、店内飲食を禁止する予定です。

シンガポールの食文化の象徴「ホーカー」

シンガポールにはホーカーと呼ばれる飲食店の屋台村が国内に100カ所以上あり、1食当たり数ドルで食べることができるローカルフードが、シンガポールの庶民の胃袋を支えています。
そのホーカーの醍醐味は作り立てのローカルフードをお店の前ですぐに食べられることです。それに値段も安く
ただ、サーキットブレーカーの制限よって持ち帰りだけの営業となってしまったことで、多くのホーカーで客足が遠のいてしまい生き残りの道を模索しています。

宅配アプリの手数料が大きな負担に

多くのホーカーは、GrabFoodやDeliveroo、Foodpandaなど各種フードデリバリーアプリを導入しましたが、アプリを利用した際に発生する手数料が大きな負担となっているようです。
私たち消費者がデリバリーアプリを利用して注文すると、飲食店は商品の売価の30〜35%を手数料としてアプリの運営会社に支払うという仕組みになっています。
その手数料の負担を減らそうと、別の注文システムを導入するホーカーが登場してきました。

ホーカー利用専門のFacebookグループを設立

チャイナタウンフードコンプレックスにある30年以上の歴史を持つダックライス店、Jin Ji Teochew Braised Duck&Kway ChapのオーナーのMelvin Chew氏(42歳)は、サーキットブレーカー中、友人のホーカーを助けるために4月にFacebookグループを立ち上げました。
そのグループは

「ホーカーズ・ユナイテッド・ダーバオ2020(Hawkers United Dabao 2020)」

現在会員数は既に26万人以上。気軽に食べられるのが魅力だったホーカーですが、店頭で食べることを禁止された影響は大きく、禁止される前と比べて70〜90%も売り上げが減ったホーカーがほとんどでしたが、このグループはFacebook上でホーカーとお客さんを簡単に結びつけられるシステムとなっています。

注文数が20〜30%増加

このFacebookグループが売上げ減の改善にかなり役立ったと話すのは、Hougang 684 BBQ Hawker経営者の息子であるQuentin Quek氏(22歳)。ソーシャルメディアに投稿した後、注文数は20〜30%増加しました。
「サーキットブレーカーが始まったとき、私の母の仕事は激減してしまいました。毎日母は不機嫌で私へのあたりも酷かったので、解決策を見つけようと思い、このグループに投稿することにしました。すると、すぐに注文が増加し、その後も売上げは安定しています」。

年配でも使いやすいWhatsAppで受注

Facebookとは別に、シンガポールではおなじみの通信アプリ「WhatsApp」で注文できるようにしたホーカーもあります。
FacebookのソフトウェアエンジニアであるYoumin Kim氏(34歳)は、ホーカーが顧客の注文を受けやすくするために、WhatsApp注文フォーム「take.sg」
を作成しました。
「この状況下でも沢山注文メッセージを受け取っている店もありますが、それらを処理する十分な時間がありません。そのため、誰もが簡単に始められるオーダーフォームを作成しようと思いました。シンガポールの年配者は、WhatsAppを使うことに慣れています。なので、Googleフォームに似たものを作り、それをWhatsAppに残すようにしました」

使い方は簡単

Take.sgの使い方は簡単です。リンク先の画面左上の3本線をタップすると登場するメニュー画面の下部に自分の郵便番号を入力するだけで近くのホーカーを検索することができて、そのまま注文までできます。

もちろん目当てのホーカーがあれば、その店名を入れても検索することができます。

キム氏の個人プロジェクト「Take.sg」は、4月上旬のローンチ以来、230人以上が登録。ホーカーからのフィードバックにより、キム氏は距離計算機能など新機能を追加しました。
キム氏は、これほどの反応がすぐにあるとは思っていなかったそうです。ホーカーの経営者はすぐにこのシステムを採用。以前はFacebookの投稿に電話番号のみを掲載していた店も、今ではWhatsApp注文フォームも記載するようになりました。
ホーカー経営者を助けたいという思いから生まれた最新テクノロジーシステム。コロナ後の「便利」に繋がる新たなビジネスが、今回のコロナ禍で必要に迫られる形で急速に推し進められることになったようです。

ホーカーを守るためにサービスの利用を

シンガポールに住む日本人も利用することが多くあるホーカー。なくなってしまうと困る方も多いのではないでしょうか。私もそうです!
大手デリバリーフードサービスではなく、お店に優しい
「ホーカーズ・ユナイテッド・ダーバオ2020」

「Take.sg」
を利用してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

Natalie

駐在4ヵ国目、2児の母。 日本で旅行情報誌の制作・編集を経て、在住国の海外邦人向け情報誌のライターへ。 お値打ちで美味しいもの、安く手に入る雑貨などを好むプチプラ・ラバー。激辛激甘に目がない。推しのKPOPを聴くこと、ドラマや映画を観ること、ゴミ拾いが趣味。

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