駐在夫、子を育てる-6- 心配
これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。
よく知られたことわざに「親の心、子知らず」という言葉がある。親がいくら心配したとしても、子どもはその心配などどこ吹く風という意味だが、子育てにおいては「妻の心配、旦那分からず」という事態が往々にしてある。
駐在夫の我が家の場合、息子のモモタ(仮名)への不安や心配の程度は、妻と私とで明らかに差があるのだ。妻は、とにかくモモタのことを心配するのに対し、私は「いや、まぁ、大丈夫でしょ」というスタンスで子育てにのぞんでいる。
例えば睡眠時間。妻は、モモタが寝ていても起きていても何かしら心配になるようだ。すやすやと寝ていると「もう5時間も連続で寝ているけど、ミルクも飲まずに脱水症状にならないかな?」と心配しているし、いつもは寝ている時間に起きていたら「なかなか寝付かないね。どこか具合でも悪いのかな?」と心配している。対照的に私は「え、眠たいから寝ているだけでしょ、きっと」「眠るよりも起きていたいんでしょ、きっと」というように思ってしまう。
ミルクについても同じことが起きる。前回の授ミルクからそれほど時間が経ってない中で、モモタが指をしゃぶれば「ミルク足りてないのかな?」と心配するし、ミルクをちょっと吐くものなら「量が多すぎたかな、飲ませすぎたかな?」と不安になっている。要するに、モモタが何をしていても、安心よりも心配が勝るようなのだ。
「そりゃまぁそんな日もあるでしょ」と思う私は、妻から「もっと心配してよ!」と言われる始末。困ったものだ。
産まれて3〜4日目で家に戻され、そこから約3ヶ月過ごしてきたのだから、寝過ぎや飲み過ぎで死んでしまうなんてことは、まぁ起こらないだろうと思うのだ
シンガポールでお世話になった産婦人科の先生(日本人男性)も「赤ちゃんの生命力は強く、親が思っているよりも簡単に死にませんよ」と話していた。
私からすると「旦那の楽観、妻分からず」である。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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