駐在夫、子を育てる-31- 「そのうち」

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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モモタ(仮名、11カ月)は太りすぎなような気がする。動いていないわけではないから、たくさん食べることに由来するのは明らかなのだが、もう少しスリムでもいいのではないか。すると言われるのは「ずり這いし始めたらそのうち痩せるよ」「ハイハイし始めたらそのうち痩せる」と。しかし、「そのうち」のそのうちはなかなか来ないのである。

モモタの日常を記録するのに「ピヨログ」というアプリを使っていて、そのアプリには身長や体重も記録できる。すると月齢に合わせた“いわゆる一般的な”身長&体重の成長曲線の範囲が表示されるのだが、モモタは一貫して上限ギリギリに近い位置をキープしている。

ずり這いをしだしても太っている状態をキープ、ハイハイをしだしても太っている状態をキープ。皆が言うような「そのうち」が来る気配はない。果たしていつなのだろうか。動きが活発になればなっただけ、比例するように増えるのは離乳食の量だ。

離乳食でよく耳にする親の心配が「うちの子は食べてくれなくて」というもの。しかし、モモタの場合は「食べ過ぎて心配」なのだ。白米、食パン、バナナ、おやき、サツマイモなどなど、食材も多岐にわたり、その量も多い。育児本などに掲載されている月齢に応じた“標準(とされる)量”よりもはるかに多く、少ないと大泣きして「もっと量をよこせ」と訴える。「そのうち」少食になってくれるといいのだが。

対照的に、駐在夫の私は痩せすぎで心配されていた。なので太りたかったのだが、食べても食べても太ることがない。高校生のころから「そのうち太るよ」と言われ続けてきた。学生時代には「社会人になったら確実に太るから」と言われたが、太ることはなく、20代後半を迎えれば「30歳過ぎたら絶対に太るから」と言われたが、太ることはなく、すでにアラフォーに突入した。「そのうち」は私にもまだ訪れていないのだ。

モモタの「そのうち」もアラフォーまで訪れることはないのだろうか。もしそうなら体格を生かせるようなスポーツをやってもらおう。相撲道か柔道か。しかし将来のことよりも明日の離乳食を何にしようか、その方がはるかに重要な問題だ。


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SingaLife編集部

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