<幼い娘2人連れて日本からシンガポールに“帰国”>14日間の隔離が自宅からホテルに変更。トラブル続きの帰国記録

こちらの記事「【6月一時帰国レポート】娘2人を連れてシンガポールから日本へ」で紹介した高田さん。記事を掲載したところ、嬉しいことに読者から「シンガポールへ戻ってくる時の様子も記事にして欲しいです」とのメールが届きました。

その高田さんに再度取材。7月下旬に日本からシンガポールへ「帰国」した際の様子をお届けいたします

日本滞在中にシンガポール政府が発表した入国規制の強化。これによって高田さんのシンガポールへの帰国が一段と困難になることに。。。

高田さん(シンガポール滞在歴:1年)
一時帰国の時期:6月下旬〜7月下旬
一時帰国理由:親の終末期病院への入院手続きのため
シンガポール入国日;7月25日未明
隔離期間:7月25日〜8月8日(14泊15日)

シンガポールへ帰国数日前に規制強化

6月に0歳と4歳の娘を連れて一時帰国した高田さん。7月下旬にシンガポールへ帰国するべく、シンガポール政府からの入国許可を取得しフライトも予約していました。ただ、そこに飛び込んできたのが「日本からの入国者の規制を強化する」というシンガポール政府の一報。

それまでは、シンガポール入国後の14日間の隔離措置期間を自宅で過ごすことが認められていました。それが7月19日23時59分以降は不可能に。政府が指定する施設(ホテルなど)で過ごさなくてはなりません。
のちに続々と発生するトラブルも、大元の原因はこの規制強化でした」と語る高田さん。ここからは高田さんの視点で見ていきます。

規制強化の一報で焦り

7月下旬の時点では日本からシンガポールに入国するには、事前にシンガポール政府から入国の許可を取得しておかなければなりませんでした。私はDPホルダーなので、EPホルダーの夫の会社を通じてシンガポール政府に申請を行います。
入国を認められた期間は7月24日〜26日の3日間。フライトの関係で、7月25日未明にシンガポールに入国する予定にしていました。

そこに飛び込んできたのが、規制強化の一報。焦りました
「施設って何?ホテルかな、どんなホテルなんだろう。小さな子ども2人を連れて、ホテルで2週間は厳しい」。いろいろなことが頭を駆け巡りました。

隔離期間の費用は3人で6,000ドル!?

さらに驚かされたのは、その費用です。政府指定の施設で過ごすことになると、1人2,000ドル(日本円で約15万5,000円)がかかるという情報でした。
私たちは3人なので、6,000ドルが必要になります。ちょっと高すぎます。頭が真っ白になりました。

シンガポールへの帰国を後ろ倒しにすることも考えましたが、日本国内での感染者数が増加し続けていたため、シンガポール政府がより規制を厳しくして、日本からの入国を禁止するケースも考えられたので、予定通り帰国することにしました。

SHNの情報収集に励む

入国に際して、SHN(ステイ・ホーム・ノーティス=14日間の隔離措置のこと)の情報をできるだけ集めようとしました。
Facebookの「SHN facility滞在者コミュニティ」に加入し、体験談を集めます。シンガポール政府のウェブサイトも見ていると、徐々に以下のことが分かってきました。

・ヘルスケアチェックの実施
私と娘2人、計3人分のヘルスケアチェックをオンラインで実施して入力内容を印刷。入国3日前(入国日を含め)からできます。
サイトはこちら(https://eservices.ica.gov.sg/sgarrivalcard/

・シンガポール労働省(MOM)へのルームシェア申請
政府指定施設の滞在費用は食費とGST込みで1人2,000ドルが基本ですが、これは1人1部屋で滞在をした場合。
家族でルームシェアをする場合は、事前申請で承認されれば1人1,300ドルにすることが可能です。入国3日前までに申請をする事となっていますが、私の場合は申請から約1日で承認が下りました。
サイトはこちら(https://form.gov.sg/#!/5ee623b3b775c800116d627e

・MOMへbaby mealのopt-outの依頼メール
Facebookに、「離乳食は不要。と申し出れば、さらに600ドルが減額され、3歳以下の子どもは700ドルになる」との情報があったため、MOMに事前にメール連絡しました。MOMからの返信に「ホテル到着時にホテルスタッフに申し出るように」と記載されていました。
※8月上旬現在、3歳以下の子供はベビーミールの手配の有無に関わらず一律700ドルになります。

各種MOMへの問い合わせ窓口はこちら
メール:wpd_advisory@mom.gov.sg.
電話:+65-6438-5122

・2週間のホテルステイに備え、体温計、離乳食14日分、子供用のお菓子、自分用の飲み物、旅行用の洗濯洗剤などを購入しパッキング。また、ホテルが寒いという情報もあったため長袖の服を追加しました。

こうして日本からシンガポールへ渡ることにしました。

シンガポール入国

7月25日(土)未明 シンガポール着

・特設カウンターで書類を提出
入国審査ゲートの前に提出書類を確認するカウンターが4つ設けられており、うち、一つカウンターは空港職員優先のカウンターでした。今回、ファミリーサポートを依頼していたので、空港職員の方がついて下さり、航空会社の職員優先のカウンターに通されました。20分くらい並んだのちに、

①入国許可メールのハードコピー
②ヘルスケアチェックのハードコピー
③パスポート
④FIN

を提出します。
書類の確認とSHNについての書類を渡されて、いざイミグレへ・・・しかし、イミグレで止められてしまいます。

それは②ヘルスケアチェックにあった「直近14日間で病院にいったかどうか」という項目でYESを選択していたからでした(娘がものもらいの症状が出たので日本で眼科を受診していました)。そのため、もう1段階、確認工程が増えてしまうことに。

別スペースに案内され、そこで3人分の検温、アンケート用紙への体調と個人情報の記入をかされました。職員の方々が5人くらい総出でアンケート用紙の記入を手伝ってくださり、15分くらいでリリースされました。

空港出発は深夜1時半ごろ

入国審査を抜けると、ファミリーサポートの空港職員の方から、滞在先がリッツカールトンになったことを告げられます。「え、リッツカールトン!?そんなことあるんだ!?」と思いましたが、緊張感でそこまではしゃげませんでした

そこから専用のバスでホテルへ搬送。同時間帯のフライトに乗っていたと思われる4ファミリーとリッツカールトンに向かいました。

ホテル到着後、防護服を着たホテル職員の方に以下を提出します。

①入国許可メールのハードコピー
②ヘルスケアチェックのハードコピー
③パスポート
④FIN
⑤クレジットカード

さらにルームシェア許可メールのコピーと、baby mealを除外したい旨を説明します。そして、ベビーベッドとベッドガードをリクエストしました。

・滞在中3食出る食事のメニュー表(大人用、キッズ用)を受け取る。ベジタリアンにも対応をしていました。
・ルームキーは使えないようになっており、部屋の中の挿入する部分に指しっぱなしにしておくように言われました。
・ホテルの部屋の準備に時間がかかり、部屋に入ったのは2時過ぎ。部屋が物凄く寒かったので持参した長袖を着て就寝。

滞在期間中の献立

母娘3人には十分の広さの部屋

割り当てられた部屋は、スイートルームで、母娘の3人で過ごすには十分の広さです。部屋からはマリーナベイの素敵な眺望が眺められ開放感はあります。ただ、開閉できる窓がないので息苦しさも多少ありました。

入国翌日に体調を報告するアプリ「Homer」のワンタイムパスワードが送られてきたので、ダウンロードします。1日3回の体調報告と、1日2回程度のMOMとMOHそれぞれからの電話に応対します。

聞かれる内容は、

・FINナンバー
・滞在ホテルと部屋番号、郵便番号
・体調に変化がないか

です。1度だけビデオ電話で部屋の様子を映すように言われました

憧れのリッツステイの開始!とはならず

私たちと同じように隔離期間を過ごしていらっしゃる方がたくさんいるためだと思いますが、困ったことがいくつかありました。

食事が配られる時間は

朝:7:30-9:30
昼:11:30-1:30
夜:6:30-8:30

とばらつきがあり、滞在初日は、夕食が9時半を過ぎてしまったため、娘が食事を食べる前に眠ってしまうという状況になりました。

毎日沢山のホテル隔離者を迎えられ、さらにイレギュラーなオペレーションを担うホテルスタッフの方々も現場で混乱されているのを感じました。気苦労を思うと頭が下がります。

子どもたちはホテルの部屋で快適に遊び回る

シンガポールの自宅にいる夫に、子どものお気に入りのおもちゃや絵本を持ってきてもらい、それで遊んでいます。広い室内で走り回っていて、特にストレスで体調を崩す、ということがなくその点ではとても助かりました

おむつなども追加が必要になれば夫に依頼すれば持ってきてもらえますし、シンガポールの友人はお菓子を差し入れしてくれることもありました。

部屋番号と滞在者の名前を言えば、ホテルのスタッフを介して部屋に届けてくれます。シンガポールで頼れる人がいれば助けてもらえるので、友人のありがたみを改めて感じます。

子ども用のふりかけとインスタント味噌汁が重宝

残念ながら配給される食事は、美味しい、とは言えずに、特に子どもは残してしまうことが多かったです。どうしても、野菜が不足するので、SHNの後半からは自宅で作ったものを運んできてもらいました。友人がベビーフードやレトルト、缶詰を差し入れしてくれたので、それは本当にありがたかったです。

特に助かったのが、子ども用のふりかけとインスタント味噌汁でした。子どもは配給の食事にほとんど口を付けられない状態だったので、とりあえずご飯にふりかけをかけて、味噌汁を飲ませてしのぎました。

ホテルでの洗濯、掃除

滞在中、部屋のクリーニングはしてもらえません。タオルを交換したい時や掃除機を借りたい時はフロントに電話をして、部屋の前までデリバリーしてもらいます。
リッツ・カールトンの場合、衣類の洗濯代は1人1日6枚までで20ドル/日でした。ホテルによって料金は異なるようです。私は持参した洗剤を使って自分で洗濯をしていました。

ホテルが手配してくれた掃除機。大きいです。

SHN費用の請求で混乱

チェックインした翌日にSHNの費用について、ホテルに確認を取りました。事前に金額に間違いがないかどうかを確認しておきたかったのです。
そうしたら案の定、0歳児も1,300ドルとの回答が。。。ベビーミールが不要の0歳児は700ドルのはず。半日ほどホテルと電話でやりとりを繰り返し、最終的に700ドルということが確認できました。

ところで、SHN費用についての規定を含め、SHN滞在施設の運営はどうやらシンガポール観光局(STB)が発行するガイドラインに基づいているそう。ただ、このガイドラインが頻繁に更新されるため、ホテルスタッフの方々も細かい部分までキャッチアップはできないような様子でした。

これで一安心と思いきや、またトラブルが発生します。

ホテル滞在の4日目(7月28日)に、夫が勤務する会社の総務部宛てにMOMからSHNの費用に関するメールが届きます。(夫の会社を通じて入国許可を取っているため、MOMとの窓口は夫の会社になります)
そのメールを見て唖然。。。記載された請求金額は6,186ドルでした
これは、母娘の全員が1人2,000ドルという内訳になります。

本来であれば、

1,300
長女(4歳)1,300
次女(0歳)700
PCR検査費用186
合計3,486

となるはずです。やっぱりこうなるか、と懸念が現実のものになりました。

支払い期日は5日後

MOMからのメールには、8月2日までに支払いせよとの記載が。支払わないとビザ剥奪になる可能性もあるため、非常に焦りました。

私→MOM
会社の総務の方→MOM
ホテル→STB→MOM

という3つのルートでMOMにアプローチし、支払い期日の前日である8月1日の昼間にようやくMOMから修正後の請求額を後日送るという旨の返信が届きます。
幸いにもホテルの方の配慮で、STBの監督者レベルの方経由でMOMにSHN費用の見直しを掛け合ってくださり、非常に心強かったです。本当に手間のかかる滞在者で恐縮しています。

ただ、8月3日にその修正後の請求書が届いたものの、次女の費用が1,300ドルのままでした…。
再度同じルートで、MOMにアプローチ。翌日に1,300ドルと700ドルの差額分(600ドル)は支払いの後に返金するので、まず全額支払い完了後にMOMから会社に送られてきた領収書の画面ショットを添付の上、再度連絡するように言われました。後日クレジットカードに600ドルの返金処理がされていました。

PCR検査へ

日本と異なり、12歳以下の子供はPCR検査を受ける必要はありません。
PCR検査はSHNが始まって11日目に受けるのが一般的だそうです。多くのケースでは、受診する数日前に、MOMからショートメールで受診場所と時間が告げられます。ただ、ここでもゴタゴタが生じてしまいました。

話はSHN9日目のことです。
MOMからの電話で「PCR検査に子どもは同伴できないから、誰かに面倒を見てもらってください」と突然言われ、困惑。
子どもは幼いですし、ホテルの部屋には人を呼べません。外部との接触は一切禁止されています。そのことを電話で説明しましたが、とにかく「安全ではないので子どもは同伴できない」の一点張りでした。

そこでSHNヘルプライン(番号:6812-5555)に電話をして確認すると、ファーラーパークホスピタルのみ子どもの同伴が可能とのことでした。また、MOMの別のスタッフに電話したところ、ホテルでPCR検査を受診できる可能性があり、その場合は子どもの同伴も可能なので、まずはどの会場になるか連絡を待つようにと言われました。
(ホテルの方が言うには、ベビーシッターを手配する手段もあるようですが、詳細は確認していません)

PCR検査の会場はホテルになったものの

翌10日目に、MOMからSMSでPCR検査の会場と時間の連絡が届きます。
「会場は滞在中のリッツ・カールトン」との内容で、ほっとしたのもつかの間・・・Twitterで「ホテルで受診する場合も、子どもの同伴不可らしい」とのつぶやきがあり不安に。
ホテルの方に、PCR検査の前日と当日の両日、本当に子どもを同伴できるのか確認すると「同伴可能」と返答され安心しました。

いよいよPCR検査当日です。指定された時刻になるとフロントから部屋に電話があり、エレベーターで1階に降りてくるように指示がありました。
ホテル1階の検査会場にいってみると、やはり「子どもの同伴はNG」と検査員の方に言われます。そして「ファーラーパークホスピタルで受けるように再度段取りするように」とも。
病院に子どもを連れて行くのもリスクですし、もしファーラーパークホスピタルが混んでいて、PCR検査を受ける日程が後ろ倒しになってSHNが長引くのも嫌でした。

最終的には、ホテルの方が機転を利かせてくださり、検査会場の近くにある屋内スペースに子どもを座らせておいてくださいました。ホテルの職員の方は子どもに触れることが禁止されているので、生後11ヵ月の娘が椅子から落ちないように、4歳の娘が面倒を見てくれました。

※PCR検査会場までの車の手配はホテルがしてくださいます。後日分かったのですが、ファーラーパークホスピタルでのPCR検査はドライブスルー形式をなっており、車から降りずに受けられるそうです。

PCR検査自体は、混んでいなかったこともあり、受付から検査が終わるまで3分ほどで終了します。それほど痛くもなく、無事に終えました。結果が出たのは2日後の朝、日本からの渡航者で陽性反応が出ている人もいたので不安でしたが、「陰性」の連絡を受けた時にはほっと安心したのを覚えています。

滞在終了!そしてサプライズが

SHNの終了は8月8日の正午です。SHNの終了時刻に合わせて、ホテルをチェックアウトしました。さまざまなトラブルがあり、長く長い2週間でした。
嬉しいことにチェックアウトの時、ホテルが記念品をプレゼントしてくれました。まさかこんなプレゼントがあるなど思わなったので、嬉しいサプライズです。
ご迷惑ばかりおかけし、途中で部屋の変更にも対応してくださり、ホテルの方からすれば、手間がかかる家族だと思われたかもしれません。
それでもご丁寧に対応してくださり、感謝です。
久しぶりの自宅は、やはり落ち着きます。子どもたちは湯船がないことに少し残念そうですが。。。

SHNのルールは日々変更がされますので、MOMやMOHに最新の状況を確認する事をおすすめいたします

この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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