【外出制限の解除の目安】“市中での感染者ゼロ又は1ケタが一定期間続いたら”
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出制限措置(サーキットブレーカー=CB)。6月1日が期限となっていますが、シンガポール政府は5月4日、サーキットブレーカーを解除する条件の1つとして「新型コロナウイルスの市中での感染者数がゼロまたは1ケタ台の状態が一定期間継続したら」との見解を示しました。
政府は感染者を2つに大別
シンガポールでは新型コロナウイルスの感染者を大きく2つに分けています。市中感染と出稼ぎの外国人労働者間での感染です。出稼ぎ外国人労働者はバングラデシュやミャンマーなどの国々からシンガポールに出稼ぎに来ている外国人のことで、単純作業用の労働ビザ(ワークパーミット=WP)を所持し、主に建設業に従事しています。
市中感染はこの外国人労働者以外の感染者のことを指し、英語では「community transmission case」などと表記されています。
市中感染が1ケタ台の日はまれ
シンガポール政府は、新型コロナウイルスによるこの市中感染者の数がゼロまたは1ケタ台の状態が一定期間続き、感染が抑制されている状態だと確認できることが重要との見解を示しています。
これはシンガポール保健省のガン大臣が5月4日、シンガポール国会での答弁でこのように述べました。
例えば、4月27日以降の市中感染者の数は以下のようになっています。
4月27日:18人
4月28日:10人
4月29日:11人
4月30日:9人
5月1日:11人
5月2日:6人
5月3日:13人
5月4日:5人
1ケタ台だったのはわずか3日しかなく、サーキットブレーカーの解除条件である「ゼロまたは1ケタ台が一定期間継続する」という状態は満たしていません。シンガポール政府は一定期間が何日間なのかという明確な基準をまだ明らかにしていません。
外国人労働者間の感染減少には時間かかる
また外国人労働者間での感染数も高い数字が依然として続いています。シンガポール政府は「外国人労働者間での感染を減らすには時間がかかる」との見方を示しています。
4月27日以降の感染者数の推移を見てみますと、
4月27日:773人
4月28日:514人
4月29日:663人
4月30日:497人
5月1日:905人
5月2日:431人
5月3日:626人
5月4日:560人
4月中旬以降、1日当たり800〜1,000人近くの感染者が確認されていた状況と比べれば、多少の減少が見られますが、それでも高い水準であることに違いはありません。
彼らの間での新規感染者が減らないと、市中感染が拡大するリスクにもなるので、シンガポール政府は慎重です。
感染者の2万人突破は目前
市中感染と外国人労働者の感染の合わせた新型コロナウイルスの感染者数は5月4日時点で18,730人となり、2万人を超えることは不可避の情勢です。
シンガポール政府は、国内の外国人労働者の数はおよそ30万人としており、最終的な感染者数がどれほど増えるのか見当つきません。ただ、政府はこれまで1部屋に複数人で寝泊まりしていた外国人労働者を仮設住宅に移り住ませて感染拡大を抑制する政策を進めています。
“鎖国”の解除は段階的に
現在のように一部の人をのぞき外国からの来訪者の入国を認めていない“鎖国”状態を解除した後でも、すぐには以前のように気軽に海外に行くことは難しそうです。
ガン保健相は「まずは最小限の範囲から始め、入国者に対する隔離や新型コロナウイルス検査は継続するだろう」と語っています。
他国と行き来できるようになったとしても、しばらくは入国後の14日間の隔離措置やPCR検査などが課されるはずです。
行き来できる国も段階的に増やしていくとのことなので、その初期段階に果たして日本が含まれるのか、気になるところです。
ウイルスをすぐに検知できるかがカギ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う“鎖国”状態を解除するためのカギとして挙げられるのが、コロナウイルスに感染しているかどうかをすぐに検知でき、感染者の行動も簡単に追跡できるシステムを確立することです。
そうすれば感染源の早期発見と迅速な対処につながります。
PCR検査の実施数は1日8,000件
シンガポールでは日本と同じようにウイルスの検知手段としてPCR(核酸増幅法)検査を導入しています。ガン保健相によれば、5月4日現在でシンガポールでは1日に8,000件のPCR検査が実施されています。4月上旬の段階では2,900件でした。シンガポール政府は、これを1日に20,000件まで上げることを目標にしています。
10万人当たりの検査数は日本が低い
日本のPCR検査実施件数はシンガポールと同じ8,000件ですが、10万人当たりの検査数で比較しますと、
日本は188件
シンガポールは1,708件
韓国は1,198件
ドイツは3,000件超
となっており日本の検査数の低さが際立ちます。(5月4日公表の日本の厚生労働省作成の資料による)
CB解除後もバスや電車ではマスクの着用を
サーキットブレーカーが解除された後でもバスや電車に乗る時には引き続きマスクの着用を。
カウ運輸大臣が5月4日に国会でこのように見解を示しました。
また、ソーシャルディスタンシング(人と人との距離を取ること)の重要性についても触れ、時差通勤や在宅勤務を継続することがポイントになると共に、警察と協力して電車やバスの利用者同士が距離を取るように求めるこということです。
カウ運輸大臣は「違反者には罰金などが課されるようになるだろう」とも述べています。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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