シンガポールで呼気を用いた新型コロナウイルス検査を試験的に開始

シンガポール国立大学(NUS)は5月24日、NUS発のスタートアップであるBreathhonix社が開発した呼気を用いた新型コロナウイルス検査システムが、シンガポール保健科学庁(HSA)から仮承認を受けたと発表しました。シンガポール保健省と協力し、マレーシアとの国境の検問所であるトゥアス・チェックポイントにおいて、近く、新たな呼気検査を試験的に開始する予定です。

NUSは、呼気検査システムについて「1分以内に正確に新型コロナウイルスを検出することができます」と述べており、新型コロナウイルスの検査をより早く、より効率的に行うことができるといいます。また、検査にあたっては、医学的な訓練を受けたスタッフは不要であると説明しています。

新しい呼気検査システムを使った検査では、使い捨てのマウスピースに息を吐くだけでよく、吐いた息に含まれる目に見えない粒子を分析します。健康な人と病気にかかっている人では粒子の特徴が異なり、病気によっても特徴が異なるといいます。

Breathonix社のCEOであるJia Zhunan博士は、開発した呼気検査システムについて「息を吐くだけで検査ができるため不快感がありません」と説明。加えて「使い捨てマウスピースには一方通行のバルブと唾液トラップが付いており、吸入や唾液が装置内に入るのを防ぐため、二次感染の可能性は低いです」と述べています。

この呼気検査システムは、2020年6月から2021年4月にかけてシンガポールの国立感染症センターとチャンギ空港、ドバイの3カ所で臨床試験が実施されました。

Breathonix社は、NUSの卒業生であるJia博士、Du Fang氏、Wayne Wee氏の3名と、T. Venky Venkatesan教授によって設立。NUSにおいてスタートアップ企業を設立・運営することを奨励するプログラムの支援を受けています。

プログラムを統括する副学長のFreddy Boey教授は「パンデミックは数年続く可能性があり、安全な経済活動の再開を支援するためには、公衆衛生上の重要な戦略として、繰り返し行う検査が広く採用される必要がありますが、Breathonix社の国産技術はまさにその点で優れています」と指摘し、国内外の安全と健康のために大きく貢献することを確信していると述べています。

Breathonix社には、高い商業的な関心が寄せられており、すでに国内外の複数の組織と検査システムの使用について協議しているといいます。

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SingaLife編集部

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