駐在夫、子を育てる-34- 風邪
これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。
先月のある日、鼻水を垂らし、咳をしているモモタ(仮名、1歳)。保育園で風邪をもらってくることはよくあるので、すぐに治るだろうとしばらく放置をしていた。ただ、その放置がのちの惨劇へとつながるのだった。
3〜4日経っても、相変わらず鼻水を垂らしているし、咳もしているモモタ。つらそうにはしていないけれど、その状況を見兼ねて病院に行くことに。診察結果は「風邪でしょうね」と。まぁ、そうだよなと思っていたその後。先生が書類を書き始める。その書類はMC(エムシー)と呼ばれ、大人だったら「会社を休みなさいよ、しかも有給だよ」というなんとも魅力的な書類で、みんな欲しがるものだ。
しかし、モモタに出された場合は厄介なものでしかない。つまり、保育園に行っちゃだめだよということだ。まさかモモタにMCが発行されるなんて。思ってもいなかった展開で内心「やばいな」と思い始める。
MCを無視して連れて行っちゃおうか、という邪な考えも頭を巡ったが、ここは外国、シンガポール。外国人の私はちょっとしたことが重大な結果を引き起こしかねないので、素直にMCに従うことにした。
先生は笑顔でモモタに「おうちで大人しくしているんだよ〜」と話しかけているが、その横でひきつる駐在夫の私。すぐに頭が切り替わる。「げげっ、これは悲劇的な展開が始まるぞ」と。保育園を休み=昼夜を問わず過ごすこと。しかも、言葉も通じない怪獣のような荒くれ者と。好きな人とであっても一定程度の距離は置きたいタイプの私。さぁ、悲劇の始まりだ。
モモタ本人は元気満点なので、家の中でずっっっっっっっっっっっと活動している。おもちゃは散らかし放題、室内に設置した柵に体をねじ込んで突破し、危険がいっぱいの場所へ行こうとするし、そして朝昼晩の離乳食では、机も椅子も床も食べこぼしで汚したい放題だ。悲劇は続くものだ。駐在夫の妻がモモタの風邪をもらって体調を崩し、戦力としては3分の1程度にしかならない。
我々大人が安寧に過ごせるのは、日中数時間のお昼寝時間と夜に寝ている時間だけ。週末を挟みこの生活が計9日間続いた。そして思う。保育園に入れてなければこの状況がずっと続くのか、と。いやー大変。ほんとに大変。世の中の(特に保育園預けられずに自宅で世話をしている)お母さんたちすごいって。
今回で学んだことがある。次回からは病院に連れて行くのは、金曜日にしよう。5日間のうち2日を週末と被らせることができるからだ。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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