シンガポールでこどもごはん -第3回- 離乳食に使ってみたいお米以外の主食。量り売りで常に新鮮な食材を!
離乳食に取り入れたい主食はお米以外にもたくさんありますよね。「シンガポールでこどもごはん」第3回目となる今回は、お米以外の主食とその活用法を詳しく教えていただきます。食物繊維が豊富なオートミール粥や手軽にできるコーンフレーク粥など、ぜひ参考にしてみてください。
お米以外の主食 / 炭水化物
麺類
赤ちゃん用のそうめんやうどんなど、塩分無添加の商品を選びましょう。お野菜を混ぜ込んだ商品もいろいろと揃っています。はくばくや和光堂の商品もオンラインで購入できます。RedMartやFairPrice Onlineで『Baby Noodles』で検索してみてください。
パスタの原材料は基本的にデュラムセモリナという小麦のみで、塩分は無添加です。「ステリーネ」という星形のパスタや「リゾーニ」というお米型のパスタはベビーパスタと同じくらい小粒なので、柔らかく茹でて離乳食にも使うことができます。
甘味のあるお野菜を茹でた茹で汁で麺類を茹でてあげると優しい風味がつくのでおすすめです。
パン
一般的な食パンの6枚スライス1枚には0.7gもの塩分が含まれています。これはお味噌小さじ1の塩分と同じくらいです。もちろん離乳食初期に食パンを1枚食べたりはしませんが、他の主食に比べると圧倒的に塩分が高いです。塩分以外にも砂糖、バターやマーガリンなどが含まれる食パン。赤ちゃんの内臓はまだ未熟です。糖分や塩分を消化する際に、膵臓や肝臓に無駄な負担をかけてしまうことになります。手軽に使える食材ですが、月齢が低いうちはパンを頻繁に与えることは控えた方が安心です。
塩分無添加の手作りのパンや蒸しパンを使ったパン粥なら安心ですが、作る手間もかかりますよね。そこでおすすめなのがオートミール。以下で詳しくご紹介します。
オートミール
オートミールはオーツ麦を蒸してから押しつぶして食べやすく加工したもの。エネルギーとなる糖質や脂質をはじめ、タンパク質や、赤ちゃんに不足しがちな鉄分やカルシウムも豊富に含みます。オートミールはごはんの代わりに主食として使うことができます。「麦」とつくので小麦かと思われがちですが、オーツ麦はグルテンフリーです。比較的アレルギーになりにくいとされています。
オートミールはお米やパンに比べて食物繊維、鉄分、カルシウムなどが豊富に含まれます。食物繊維は水溶性と不溶性がバランスよく含まれていて、便秘解消に効果的。うちの子は8ヶ月頃、5倍粥を食べていた頃からオートミールも食べ始めました。
便秘がちでない子だとお腹が緩くなったりすることもあります。様子を見ながら量や回数を調整してあげてください。
オートミールの種類
ロールドオーツ
粒が大きく加熱にも時間がかかりますが、しっかりと食感が残ります。グラノーラを作る時にはこちらを使います。
クイックオーツ
ロールドオーツを砕いてあり、ロールドオーツより調理時間が短く手軽に使えます。
インスタントオーツ
ロールドオーツをさらに調理して乾燥させたもの。クイックオーツより調理時間はさらに短く、電子レンジでさっと作ることができます。
離乳食用のオーツシリアル
前回ご紹介した10倍粥の代わりに使えるライスシリアルのオーツ版です。一般的にはオートミールは離乳食中期からと言われますが、こちらは粉状なので、離乳食初期6ヶ月から与えることができます。
熱湯やミルクと混ぜるだけで加熱しなくても使えます。どろどろとしたペースト状なので、パン粥の代わりに使えます。インスタントオーツはかなりどろどろな仕上がりになるので、おすすめはロールドオーツかクイックオーツ。
初期に与える場合は調理のいらない離乳食用のオーツシリアルを。中期以降は少し食べ応えのあるクイックオーツ、しっかりもぐもぐできるようになったらロールドオーツと使い分けるといいと思います。
ロールドオーツとクイックオーツでお粥を作ろう
(写真は離乳食中期用のクイックオーツ)
離乳食中期
オートミールの量 | 水分量 | 加熱時間 | 出来上がり | |
クイックオーツ | 6g〜10g | 50ml〜70ml | 2分程度 | 約40g〜70g |
ロールドオーツ | 6g〜10g | 60ml〜80ml | 2分半〜3分 | 約40g〜70g |
離乳食後期
オートミールの量 | 水分量 | 加熱時間 | 出来上がり | |
クイックオーツ | 10g〜20g | 50〜100ml | 1分半〜2分 | 約50g〜100g |
ロールドオーツ | 10g〜20g | 50〜110ml | 2分〜3分 | 約50g〜100g |
水分は、お水、牛乳、粉ミルク、豆乳、野菜だしや鰹だしなど、お好きなものを使って下さい。月齢が低いうちはお水と豆乳などを半々で使ってもいいと思います。
吹きこぼれやすいので大きめの耐熱容器を使用し、ラップはせず電子レンジ(600w)で加熱します。レンジのワット数などに応じて加熱時間を調整して下さい。もちろんお鍋で加熱することも可能です。水分がほぼなくなってオートミールが柔らかくなるまで加熱します。
加熱後はさっと混ぜたら冷めるまで蒸らします。固すぎて食べにくそうにしている場合は水分を追加するなど調整してあげて下さい。
(写真上がクイックオーツ、写真下がロールドオーツ)
オートミール粥以外の活用法
離乳食後期以降のお出かけには、タンパク質も野菜も摂れる具沢山のスープを作り、最後にオートミールを5gほど加えてからスープジャーに入れて外出していました。
オートミールはすでに加熱処理されているので、加えてからは煮なくてOK。スープジャーは熱湯で余熱&殺菌をしておき、オートミールを加えたらさっと混ぜて火を止め、すぐにスープジャーにうつして蓋をします。オートミールは余熱でしっかり柔らかくなって、食べる頃には程よいとろみもつきます。
離乳食完了期の後半(1歳4ヶ月頃)からロールドオーツを使ったグラノーラを作っておやつにしていました。こどものおやつについてご紹介する時に、グラノーラのレシピもご紹介できたらなと思っています。
コーンフレーク
シンガポールでは原材料が『とうもろこし』のみのシンプルなコーンフレークが手軽に購入できます。ローカルスーパーやRedMartでお取り扱いのあるSimple Natureのコーンフレークは原材料がオーガニックとうもろこし100%です。そのほか量り売りのお店でも購入できます。
離乳食中期くらいから柔らかく調理して与えます。カロリーはオートミールと同じくらいなので、与える量は【ロールドオーツとクイックオーツでお粥を作ろう】の量を参考にして下さい。
コーンフレーク粥を作ろう
コーンフレーク 大さじ3(約15g) 牛乳や粉ミルク等 大さじ3(出来上がり約55g) |
コーンフレークは袋に入れ、手で崩すなどして砕いておきます。
(多めに砕いて常温で瓶などに保管しておくと便利です。)
耐熱容器に入れ、ふわっとラップをし電子レンジで1分程加熱します。
加熱後はさっと混ぜたら蒸らします。
固すぎて食べにくそうにしている場合は水分を追加するなど調整してあげて下さい。
そのままでもいいですが、冷凍ストックの野菜ペーストや、キヌアやレンズ豆等と混ぜると栄養価が上がります。(キヌアとレンズ豆は以下でご紹介します。)
できればフルーツ以外の糖分の少ない食材と合わせてお野菜などに慣れる練習をしたいですが、進みが悪い時は、潰したバナナやフルーツピューレを混ぜるなど、フルーツの力を借りてもいいと思います。
キヌア
スーパーフードとして注目されるキヌア。グルテンフリーで食物アレルギーを起こす可能性は低く、離乳食中期から取り入れることができます。タンパク質が豊富で、必須アミノ酸をバランスよく含み、鉄分、カルシウム、食物繊維も豊富です。わが家では離乳食中期の8ヶ月頃に始めました。
白いキヌアは柔らかく、赤や黒いキヌアはプチプチ食感が強いので、離乳食には白いキヌアが向いています。
主食を全てキヌアで置き換えるのではなく、ごはんやお粥、おかずに混ぜてあげて、タンパク質、食物繊維や鉄分を補強してあげましょう。
どうやって炊く?浸水は必要?
生のキヌアの表面は苦味の強いサポニンという成分で覆われています。目の細かいザルや茶こしを使ってすすいだ後、玄米と同じように浸水させてから炊きます。キヌアは浸水させずに炊いた方が美味しいという声もありますが、離乳食として使うときはよくすすぎ、2時間以上(〜ひと晩)浸水してから使います。浸水することでアブシジン酸という発芽抑制因子を抑えます。浸水によって発芽するので栄養価も高くなります。
ぽろぽろとこぼれやすいので、お野菜ペーストやヨーグルトベースのサラダ、ポタージュスープなどに混ぜると与えやすいです。炊き上がったごはんやお粥に調理済みのキヌアを混ぜてもいいですし、雑穀のようにお粥やごはんを炊く時に加えて一緒に炊くこともできます。手づかみ食べが始まったら、おやきやハンバーグなどに調理済みのキヌアを混ぜ込むのもおすすめです。
離乳食用にキヌアを炊いてみよう
(大さじ2で小さじ20程度作れます。)
1.目の細かいザルや茶こしを使って、お米を研ぐように洗う
2.さっと水を切ったらたっぷりの水に浸し、2時間以上(〜ひと晩)冷蔵庫で浸水する(シンガポールは気温が高いので必ず冷蔵庫に入れましょう。)
3.目の細かいザルや茶こしを使い、浸水した水を捨て、さっとすすいだら鍋に入れる
4.しっかりとかぶるくらいの水(またはおだし)を入れ、沸騰したら弱火にして15分程度柔らかくなるまで加熱する
(輪のように見える白い線ができて粒が透明になったらOKですが、月齢が低い頃は調理時間を伸ばしてさらに柔らかく仕上げて下さい。足りなければ途中水分を足します。)
調理例(写真右下)
前回ご紹介したGerberのにんじんピューレにキヌアを混ぜました。ビタミン、タンパク質、食物繊維、鉄分などが摂れる栄養価の高い副菜として。
レンズ豆
豆はタンパク質が豊富な食品として知られていますが、レンズ豆は炭水化物も豊富に含みます。鉄分やミネラル、ビタミン類も豊富。カルシウムを骨に取り込むのを助けてくれるビタミンKも豊富です。炭水化物も豊富なので、主食のお粥があまり進まない場合などは副菜に混ぜるなどして積極的に取り入れてあげるといいと思います。
一般的な豆と違い、レンズ豆は浸水の必要がありません。軽くすすいだらすぐに調理できます。皮の剥いてある赤レンズ豆なら火の通りも早く、柔らかく仕上がります。アクも少なくすり潰すこともできるので離乳食初期から取り入れることが可能です。甘みの強い茹で野菜と一緒にポタージュスープにするのもおすすめです。
赤レンズ豆の茹で方
赤レンズ豆を軽くすすぎ、水を切ったら鍋に入れ、15〜20分ほど茹でます。
柔らかく茹でたらザルにとって湯を切り、必要であればすり潰します。
小分けトレーで冷凍もできます。
(15gの乾燥赤レンズ豆で柔らかめの茹でレンズ豆が45g程度作れます。)
月齢が上がったら煮崩れしにくい緑レンズや茶レンズを取り入れても◯
すすいだ後ほかの食材と一緒に調理することができますが、アクが気になる場合は10分ほど下茹でをしてから加えます。お米と一緒に炊き込む場合は30分〜1時間程度浸水してから加えます。
調理例(写真右下)
5倍粥にレンズ豆とキヌアを混ぜた栄養価の高いキヌアとレンズ豆のお粥
量り売りを活用しよう
SCOOP WHOLEFOODS / Kilogramme Eco Grocer
※The Source Bulk FoodsはKilogramme Eco Grocerにリブランドしました。
離乳食に使ってみたいかも。と思っても、食べてくれるかどうか分からないし、数百グラム入りの大きなパックを購入するのって躊躇しますよね。数年前からシンガポールでも身近になった量り売りをぜひ活用してみて下さい。SCOOP WHOLEFOODSとKilogramme Eco Grocerは品揃えが豊富です。
今回ご紹介したオートミール、コーンフレーク、キヌア、レンズ豆は、全て量り売りのお店で購入することが可能です。オーガニックの商品も多数揃っています。幼児食におすすめの、お野菜が練り込まれたかわいいアニマルの形のパスタもあります。
必要な量だけ購入できるのでフードロスも抑えられますし、少量ずつ購入することで常に新鮮な食材を使えるという利点があります。
栄養価の高い主食でバリエーションを増やそう
今回は、お米以外の主食や炭水化物について教えていただきました。麺類やパン以外にも、オートミールなら離乳食完了期に入ってからもグラノーラに活用できて便利。コーンフレークはキヌアやレンズ豆と混ぜて栄養価をアップ!キヌアはおかずに混ぜてタンパク質や鉄分を補強しましょう。量り売りなら常に新鮮な食材をロスなく使えますのでぜひお試しください。
第4回はこちら▶お肉系たんぱく質のはじめ方 こだわりたい離乳食の成分から器についてもご紹介
この記事を書いた人
Kanako
シンガポーリアンの夫と6歳の息子と3人暮らし。できる限り無添加とうす味を意識した、素材を味わう「こどもごはん。」今日はどこいこ ︎「旅するごはん。」「カラダにやさしいごはん。」手抜きしつつ、楽しみつつ作ってます。幼児食インストラクター、食育アドバイザー。 インスタアカウント:kanako_kgym(日常アカウント)/kanako_ong(こどもごはんアカウント)