シンガポールで子育てするメリット・デメリットとは?現地在住ママが本音をお伝えします!

「海外で子育てするのって大変?」
「子どもは英語ペラペラになるの?」
「メイドさんを気軽に雇えるってホント?」
これは筆者が実際に日本の友達からよく聞かれる質問です。近頃は教育のために海外移住する方も増えており、海外子育てについての関心も高まっています。

そこで今回は、シンガポールで二人の子どもを育てている筆者が現地での子育てについて本音をお伝えします!

 




シンガポールで子育てするメリット

まず、メリットからみていきましょう!シンガポールでの子育てはこんなに良いところがあるんです!

1. 多様性がある

シンガポールは、言わずと知れた多民族国家です。人口約570万人のうち、約400万人が国民と永住権保持者で、その約75%が中華系、15%がマレー系、8%がインド系。また、100万人を超える外国人労働者を受け入れています。

そんな多民族国家では、文化や宗教、肌の色もさまざま。街を歩けば多種多様な民族衣装を着ている人であふれています。それが日常なので、誰がどんな格好で歩いているかなんてことは誰も気にしません。もちろん学校の先生だって人種や国籍はさまざま。

そのような環境で育つ子どもたちは、お互いの価値観を認め、尊重することを学んでいきます。現代のグローバル社会においてはとても大切なことですね。


2. 子は宝!子どもに優しくて寛容

これはシンガポールで子育てをしているママ全員が感じることではないでしょうか。シンガポールの人はとにかく子どもに優しい!おじいさんおばあさんだけでなく、若い人も同様です!

困っているとすぐに声をかけてくれるし、子連れだと電車やバスで当たり前に席を譲ってくれます。また、我が子がイヤイヤ期で泣きわめいていても迷惑そうなそぶりをされたこともなければ、すすんで子どもをあやしてくれます。

こうした人々の優しさに、筆者は何度心が救われたか分かりません。本当に子どもに寛容かつ協力的な社会で、感動すら覚えます。社会みんなで子どもを育てる雰囲気は、まるで日本の昭和時代のようですね。

また、歩道がきちんと整備されており、MRT(電車)の駅には必ずエレベーターもあります。ベビーカーや車いすでも安心してお出かけできますよ。


3. 教育の選択肢が多い

シンガポールには、日本人小学校・中学校、ローカル校、インターナショナル スクールとさまざまな学校があります。また幼稚園も、日系幼稚園、ローカル幼稚園、インターナショナル スクールがあり、たくさんの選択肢の中から選ぶことができます。

ご家庭の教育方針や、子どもの学力等に沿って学校を選ぶことができるというのは大きなメリットです。そして、学校が子どもに適していないのなら考え直すことも可能。

実際にシンガポールに住んでいると、転校・転園は驚くほどよく聞く話です。ローカル幼稚園が合わず日系幼稚園に転園する子もいますし、英語にもっと力を入れたいと日系幼稚園からインターナショナル スクールに転園する子もいます。選択肢の多いシンガポールならではですね。

また、モンテッソーリ教育を行う幼稚園もたくさんあります。モンテッソーリ教育といえば、藤井聡太棋士が子どものころに受けていたことで一躍話題になりました。興味はあるけれど日本では近くになかったという方も、シンガポールでは選択肢の一つとして考えることができるのは嬉しいメリットですね。




4. 多言語の環境、グローバル教育

シンガポールには公用語が4つあることをご存知ですか?英語、中国語、マレー語、タミル語です。若い世代の人たちはほとんどが、英語と自身の民族の母語の2言語を話すバイリンガルです。

シンガポールのローカル校では各教科の授業は英語で行われており、生徒は第二言語として他の3つの公用語のいずれかを学ぶことが義務付けられています。そのような背景もあり、日系幼稚園や日本人小学校・中学校も英語教育に力を入れています。

シンガポールでは多様性のある環境の中で意識せずともグローバル教育が行われ、将来を担うグローバルな人材が育つのです。




5.  個性、自立心、自己肯定感が育ちやすい環境

学校やコミュニティにおいて「自分だけ外国人」で肌の色や習慣、言葉が異なると、何かと苦労や辛い思いをすることもあると思います。でもシンガポールではみんな違うのが当たり前。さまざまな人種の子どもたちが同じ学校で学び、同じコンドミニアムで暮らしています。

当然それぞれの個性や能力にだって違いがあります。みんな相手のいいところ、素敵なところや凄いところを見つけ、そして自分にもいいところがあるのを見つけていく。そうして自然と個性や自立心を大事にする気持ちが生まれ、それがいつしか自信になり自己肯定感へとつながっていきます

実際に、筆者の住むコンドミニアムには日本人はほとんどいません。我が子がいつも一緒に遊ぶのは、インド人、ベトナム人、ドイツ人、スイス人など世界各国の子どもたち。とてもグローバルな環境です。

まさに「みんな違って、みんないい」ですね。


6. 治安がよく安全安心

日本よりも安全だと感じるシンガポール。日本で見かけることがある、繁華街での酔っ払い同士の喧嘩やコンビニの前での若者のたむろといった光景は、ほとんど見られません。治安のよさに貢献しているのが防犯カメラ。街中に防犯カメラが多数設置されているため犯罪が少ないのです。

安全だといわれているシンガポールですが、事件がないわけではありません。過去10年で3件の誘拐事件が起こりました。いずれも犯人は捕まっており、日常的に発生している犯罪ではありませんが、それでも十分な注意と予防の心構えが必要です。小さな子どもは特に目を離さないよう注意してくださいね!




7. 医療レベルが高く日本人医師が多い

これも子育てする上でとても大切なこと。シンガポールは病院の数が多く医療レベルがとても高いことで有名です。日本同様、各分野の専門医が多数いらっしゃいます。また、日系クリニックも複数あり日本人医師が常駐しています。もちろん日本人の小児科医も多数いらっしゃるので、自身に合った医師を選ぶことだって可能です。

筆者は以前、別の東南アジアの国でも子育てを経験したことがありますが、そこには日本人の小児科医がいませんでした。子どもを病院へ連れて行く際は常に通訳を手配して、不安になりながら診察を受けていたことを覚えています。そして「何か緊急手術などが必要になった場合は、ヘリでシンガポールかバンコクへ連れて行くから!」と言われたことも。そんな経験もあり、医療レベルが高いシンガポールで子育てをする安心感は絶大です!




8.  公園やプレイグラウンドが充実している

シンガポールには子連れに優しい公園やプレイグラウンドが充実しています。ガーデンズ  バイ ザ ベイやボタニック ガーデンなどの広い国立公園は入場無料!週末のファミリーでのお出かけに最適です。

また、ほとんどのコンドミニアムやHDBと呼ばれる公共住宅には屋外プレイグラウンドが付いていて、子どもを自由に遊ばせることができます。さらにショッピングモールの中には有料の室内プレイグラウンドもたくさんあります。

お気に入りのプレイグラウンドを探すのも楽しいと思いますよ!




9. メイドさんを雇うことができる

シンガポールでは共働き家庭が多いことから、多くのメイドさん・ヘルパーさんが活躍しています。もちろん日本人家庭でも雇うことは可能です。メイドさんの国籍は、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、インドなどさまざま。国籍、本人の経歴、スキルによって料金が変わります。

一般的には住み込みですが、シンガポール国籍のメイドさんであればパートタイムも可能。さらに、産褥ナニーと呼ばれる、産後の母子をケアするヘルパーさんも一般的な存在です。新生児のお世話全般と家事をすべて行ってくれます。

大人が一人増えるだけで子育ての安心感が全然違いますよね。ただ、メイドさんと聞くとメリットばかりに目が行きがちですが、住み込みの場合はさまざまなトラブルもあると耳にします。メイドさんを雇うことをお考えの方は、契約内容などをしっかり共有しトラブルがないようにしたいですね。




シンガポールで子育てするデメリット

1. 教育費が高い

デメリットといえば、100人中100人がこれを真っ先に挙げるのではないでしょうか。そう、シンガポールはとにかく学費が高い!それは国全体で教育に力を入れているからだそうです。

例えば幼稚園の学費(月額)の相場をみてみると、日系幼稚園でS$1200〜S$1500(11万2800円〜14万1000円)、ローカル幼稚園でS$1000〜(9万4000円〜)、インターナショナル スクールでS$1200〜(11万2800円〜)です。日本の感覚から考えるとビックリしますよね。

こればかりは仕方がないとはいえ、「日本では保育料無償化のこの時代に、一体なぜこんなに高いお金を支払っているんだろう…」と思ってしまうことも。ただ、他言語教育が基本でカリキュラムがしっかりしていることや、ローカル幼稚園は保育時間が7時〜19時までと長時間保育にも対応しており、メリットがあることも事実です。

※レートは執筆時点の情報に基づきます。


2. 教育に熱心な親が多い

これはメリットでもありますが、敢えてデメリットとして書かせていただきます。教育レベルが高いシンガポールでは、早くから子どもに塾や習い事をさせ幼児教育に力を入れているご家庭が多いように感じます。もちろん早期教育は素晴らしいことですが、「みんなが習っているなら、うちもやらせた方がいいのかな…」など、周りと比べてプレッシャーを感じる方も多くいらっしゃるのだとか。

子育てや教育についての考え方はご家庭によってさまざま。周りに流されず、また周りに押し付けることなく、子どもに合ったペースで子育てしていきたいですね。


3. 児童館などの無料施設がない

日本を出て初めて気づく日本の素晴らしさ。その一つが、児童館や子育て支援センターなどの無料公共施設です。シンガポールには無料で遊べる公園やプレイグラウンドがたくさんあると書きましたが、これらは「外」なんです!この暑いシンガポールで無料なのは外!一時間もいればもう汗だくです。

その点、日本の無料公共施設は室内プレイグラウンドがあったり、工作ができるスペースがあったりと最近は特に充実しているそうですね。シンガポールにいると日本の公共施設のありがたみをひしひしと感じます。


4. 罰則が厳しい

シンガポールは法律が厳しく「Fine City(罰金の街)」といわれていることをご存知でしょうか。ゴミをポイ捨てしてはいけない、ガムを国内に持ち込んではいけないというルールは有名ですね。厳しいところでいうと、一定量以上の麻薬を所持したり密輸した場合は死刑となります。このような厳しい法律は、さまざまな民族と宗教からなる国内の秩序を維持するためなのですが、大人同様子どもにも注意が必要です。

例えば中学、高校の年齢の少年が万引きをした場合は、店側に発見され警察に通報されれば、まず間違いなく逮捕されます。また法律上、7歳以上の子どもは刑事罰の対象となります。

まさに「郷に入っては郷に従え。」ご家庭でシンガポールのルールについて子どもと話し合っておくことが大切ですね。




5. 刺激が少ない

シンガポールは東京23区ほどの面積。そのためどこへ行くにも近くて行きやすいというメリットもありますが、その分遠出ができません。王道の観光スポットは3日あれば制覇できてしまいます。そのため、正直飽きてしまったという在住者の声もちらほら。

ここ数年はコロナ禍でイベントごとが中止になり、近隣諸国へ旅行することもできませんでしたが、最近になって徐々に規制も緩和されてきました。コロナ前はマリーナエリアで花火が上がったり、子どもも楽しめるイベントが多数開催されていました。きっと以前より楽しみは増えるはず。今後に期待しましょう!


6. 年間11日だけ!?シンガポールの祝日

実は日本は祝日が多い国って知っていましたか?筆者は日本を離れるまで知りませんでした。

例えば2022年の日本の祝日は16日。しかもこれに付随してゴールデンウィークや年末年始は大型連休になる会社も多いですね。対してシンガポールの祝日は11日です。大型連休になるのはチャイニーズニューイヤーくらいでしょうか。

シンガポールに住むと日本よりも家族で過ごせる日が少なくなります。ただ、日本にいるときよりも残業時間が減ったという方が多いのも事実。子育てをする上で家族団らんの時間はとても大切です。祝日が少ない分、平日は早めに仕事を切り上げて子どもと向き合う時間を増やしたいですね。

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7. 四季がない

シンガポールは熱帯で四季がなく、一年が乾季と雨季に分かれています。日本では季節によってさまざまな行事があり、昔から季節の移り変わりを楽しむ文化がありますよね。シンガポールは一年中暑いので全く季節感がなく、子どもに肌で四季を感じてもらうことができません

日系の幼稚園や日本人小学校では日本の季節にまつわるイベントを行っています。ただ、ローカル校やインターナショナル スクールにはそれがありませんので、各家庭で教えるしかありません。

個人的には、四季がないと記憶が定着しにくいと感じます。あれは夏の思い出、これは冬の思い出…と、記憶は四季と密接に結びついていることが身に染みて分かりました。ただ、衣替えがないのでその点はとても楽です!


8. 祖父母の支援を受けにくい

もともと日本で祖父母が遠方にいた方にはあまり関係がないかもしれませんが、近くに住んでいた方にとっては大きな痛手ではないでしょうか。

子育てをサポートしてくれる存在はママにとってはとても大事!一人で抱え込んではいけません。メイドさんを雇ってサポートしてもらうこともできますが、もちろん費用がかかります。祖父母はなんでも気軽にお願いできて、頼りたいときに頼れる貴重な存在。離れてみるとそのありがたみを感じますよね。

ただ、祖父母に頼れなくてもシンガポールには子育て仲間がたくさんいます!日本が誇る「お互い様」文化はシンガポールでも健在ですよ!


日本と違う環境でも子どもはのびのび育つ

いかがでしたか?「メリットばかり聞いていて、いざ住んでみたら想像と違った!」とならないよう、デメリットも正直に書かせていただきました。メリットもデメリットもある海外子育てですが、日本と違う環境でも子どもは順応してたくましく育っていきます。

これから駐在でシンガポールにいらっしゃる方、海外移住を計画している方、ぜひ参考にしてみてくださいね!

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。


この記事を書いた人

SingaLifeママパパサークル

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